2.航空機の最終組立

航空機のオーダーからデリバリーまでの流れ(スクート編)

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航空機のオーダーからデリバリーまでの流れ

スクートに2015年1月、同社初めての787がデリバリーされました。そのデリバリーフライトに同乗する機会がありました。今回は、この取材に基づき、航空会社が航空機を発注しデリバリーまで流れ、さらにデリバリーフライトについて、一般的な流れをスクートに引き渡しされた機体を例にまとめました。

1.航空機の発注から組立開始
2.航空機の最終組立
3.航空機の塗装、テストフライトから契約まで
4.航空機デリバリーの準備とデリバリーフライト

最終更新日:2015/07/29

2.航空機の最終組立

PR情報

セントレアからドリームリフターで運ばれるものを含め、アメリカ・ワシントン州エバレット工場、またはサウスカロライナ州チャールストン工場へ世界各地で製造された787の部位が運び込まれます。この両工場の787最終組立の製造ラインは2015年2月現在、エバレット2本、チャールストン1本、計3本あり、エバレットは月7機、チャールストンで月3機、両工場で月間10機の787が製造されています。

アメリカ・ワシントン州のエバレット工場
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エバレット工場では、各地から運ばれた部位をいったん、最終組立を行う前に各部位を集積する建物に集められます。この建物では、水平安定板の組立作業など製造ラインで作業を行う前の事前準備が行われます。

777の組立が工場
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この製造ラインは、エバレット工場の建物を北から南へ向かい、長さ約500メートルの「シンプルな1列」で作業が行われています。「シンプルな1列」とは、777の組立が工場の南からスタートし、北側まで進み、折り返し地点を過ぎた後に胴体を接続する「2列」で計1キロに及びますが、787製造ラインは1列のみ、500メートルで製造が完了します。

787の製造ライン
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「部位づくり」で川崎重工を紹介した通り、製造ラインに運び込まれる機体は、配管、ダクト、配線など艤装が済んでおり、この作業が簡素化されており、「シンプルな1列」の製造ラインが実現しています。中・大型機の製造でこうした取り組みが行われているのは、787が初めてです。旅客機として性能の良さがアピールされていますが、製造時の革新的な取り組みが行われているのも787の特徴です。

主翼を胴体に接合する作業「ポジション1A」
[ポジション1B]Copyright © FlyTeam News
胴体の結合「ポジション1B」
[ポジション1A]Copyright © FlyTeam News

787の製造ラインをさらに詳しく見ると、主翼を胴体に接合、胴体の前・後部の接合、垂直尾翼の接合を行う「ポジション1」で組立作業が始まります。ボーイングはこの「ポジション1」を細かく分け、主翼を胴体に接合する作業を「ポジション1A」、胴体の結合は「ポジション1B」とし、現在は初期製造時から変更、改善が行われています。

機内の床の装備、絶縁壁・断熱材の装備、油圧系の装備、電気系統の配線を行う「ポジション2」
[ポジション3]Copyright © FlyTeam News
機内や貨物室の装備、エンジン搭載を行い、初めての電源投入を行う「ポジション3」
[ポジション2]Copyright © FlyTeam News

その後、機内の床の装備、絶縁壁・断熱材の装備、油圧系の装備、電気系統の配線を行う「ポジション2」、機内や貨物室の装備、エンジン搭載を行い、初めての電源投入を行う「ポジション3」、機内装備を完了させ、導入した装備のテストを行う「ポジション4」と進みます。

機内装備を完了させ、導入した装備のテストを行う「ポジション4」
[ポジション4]Copyright © FlyTeam News

「ポジション4」で確認作業が終了後、トーイングカーに牽引され、塗装されていない白い機体のまま製造ラインを後にします。

787の製造ライン
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製造ラインで1機の組立にかかる平均日数は25日から1カ月程度、塗装を含むロールアウトは1カ月から1カ月半程度です。スクートの機体の場合、最終組立の着手は2014年9月4日、組立終了は10月16日と最終組立の日数は42日間でした。

ロールアウト
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787導入各航空会社
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このエバレット工場は延べ床面積、建物の体積でギネス認定された世界最大の建物です。従来は747製造にあわせて建設されましたが、現在は主に777と787の製造、それに767と747を製造しています。この工場は、一般向けに見学コースが設けられています。見学は工場に隣接する博物館「フューチャー・オブ・フライト」で当日申し込みも可能ですが、オンラインで予約することも可能です。

DREAMLINER DINER
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Twin Aisle Cafe
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ちなみに、787の生産ラインは「787-8」と「787-9」を同じ生産ラインで組立ており、その違いは尾翼の塗装がない場合「787-8」、塗装ありは「787-9」と、機種の違いを一目で見分けることができます。また、工場全体で、約4万人が勤務し、そのスタッフが休憩するコーヒーショップが3軒あります。工場内のコーヒーショップは従業員に大人気で、「Twin Aisle Cafe」や「DREAMLINER DINER」といったカフェの看板を見ることができます。この工場内のショップは、世界一のコーヒーの杯数を提供しているそうです。

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