3.塗装、テストフライトから契約まで

航空機のオーダーからデリバリーまでの流れ(スクート編)

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航空機のオーダーからデリバリーまでの流れ

スクートに2015年1月、同社初めての787がデリバリーされました。そのデリバリーフライトに同乗する機会がありました。今回は、この取材に基づき、航空会社が航空機を発注しデリバリーまで流れ、さらにデリバリーフライトについて、一般的な流れをスクートに引き渡しされた機体を例にまとめました。

1.航空機の発注から組立開始
2.航空機の最終組立
3.航空機の塗装、テストフライトから契約まで
4.航空機デリバリーの準備とデリバリーフライト

最終更新日:2015/07/29

3.塗装、テストフライトから契約まで

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デリバリー前のスクートの787初号機「9V-OJA」
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写真ではフライトラインに飛行機があり、奥に見える建物が塗装の格納庫
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最終組立が終了すると、塗装作業が行われる工場まで、トーイングカーで移動します。塗装はおおよそ5日間程度で行われます。作業開始は、すぐに行われる場合もあれば、時間を置いて行う場合、さらに一部機材はポートランド国際空港の塗装工場で実施されています。スクートに引き渡しされた787-9初号機は、最終組立終了後の11日後、10月27日にエバレット工場で塗装が終了しています。

塗装作業は工場見学での行程に組み込まれていませんが、「フューチャー・オブ・フライト」の展望台からその建物を正面に見ることができます。展望台正面の16R/34Lに平行するフライトラインには、地上試験を行う787や777、747などが並び、この中に塗装前の機体も並んでいます。2015年1月末、スクートに引き渡しされる2機目の787-9も塗装前の状態でこのフライトラインに並んでいました。

塗装が終了すると、外見上はすぐにでも営業飛行できる状態に見えます。ただ、ボーイングは1機ずつを地上試験、試験飛行を重ねて行きます。地上試験は、製造した機体の操作、作動、電源系統の確認を主に実施します。787では、エンジンスターター、客室与圧システム、主翼防氷システム、主脚ブレーキ・アクチュエーターなど多数に採用されている電気制御についても、確認が行われます。

写真はフルストップテストのため、滑走路に進入してくる機材。ペインフィールドではこうした様子を見ることができる。写真は2012年撮影
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その後の地上滑走の試験は、運が良ければ「フューチャー・オブ・フライト」の展望台から見ることができます。エンジン全開で16R/34Lを疾走し、フルストップする迫力ある様子が楽しめます。

スクートに引き渡しされた787の場合、10月末のロールアウト後、初飛行の2015年1月12日まで約2カ月かかりました。スクートのキャンベルCEOは、この期間の詳細は明かさなかったものの、ボーイングの製造上の課題、それ以前に製造した機体のデリバリー状況、さらに年末年始休暇など、塗装終了後から初飛行までの地上試験の期間はまちまちです。2013年以降は、おおよそ1カ月前後、早ければ2週間程度で初飛行が行われています。

初めての試験飛行は、製造したボーイングのテストパイロットが操縦桿を握り、上空で各種機能をチェックします。初飛行は、「B1 Flight(Boeing First Flight)」と呼ばれ、B2、B3、B4と顧客へ引き渡しに向け機体の状態をチェックしていきます。その後、顧客が製造された機体を受領するか否かを判断する領収試験、「C1 Flight (Customer First Flight)」と呼ばれる試験飛行が行われます。これは購入する航空会社のパイロットがコクピットに座り、最終的に航空機の性能や状態をテスト飛行を通じて確認を行う作業です。

フライトラインには製造されたばかりの機材が様々にならぶ。スクート向け機材も各種テストが行われた
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最終組立が完了、塗装を行う前にも各種、エンジン、アビオニクス、機内システムなど確認が行われる
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フライトラインには塗装済みの機体から未塗装が混在。ペインフィールドはただ、眺めるだけでも楽しいスポットだ
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一般的な確認事項は、緊急脱出装置が稼働するか、コクピットの操作が的確か否か、客室の装備を通常の旅客と同じようにシートに着席して状況を確認したり、客室乗務員が使用するギャレーの状態、トイレの使用状況、最近は装備されたWi-Fiの使用状況など、機内装備の全てを確認します。1度のフライトで確認事項がクリアできない場合は、調整などを行った上で「C2フライト」が行われる場合もあります。

スクートに引き渡しされた787初号機は「C1」を1回、実施しました。このテスト飛行はスクートのパイロットが操縦桿を握り、同社のスタッフが同乗し、キャンベルCEOによると「1回のフライトで、全ての面で満足できると確認した」ことから、スムーズに契約へと至りました。これを受け、ボーイングはスクートへ引き渡しの書面での契約を交わし、デリバリーとなりました。初飛行は2015年1月12日、契約日では1月23日と、この過程は11日間でした。

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