アメリカ空軍のA-10攻撃機、173機の主翼交換しプログラム完了

アメリカ空軍のA-10攻撃機、173機の主翼交換しプログラム完了

ニュース画像 1枚目:離陸するA-10サンダーボルトⅡ攻撃機
© U.S. Air Force photo by Alex R. Lloyd
離陸するA-10サンダーボルトⅡ攻撃機

アメリカ空軍は2011年から開始したA-10サンダーボルトⅡ攻撃機、173機の主翼交換が完了したと公表しました。最後に主翼交換が終わったシリアルナンバー「80-0252」がユタ州ヒル空軍基地で、2019年7月25日(木)に試験飛行を実施しました。これにより約10,000飛行時間延長され、2030年代まで運用される予定です。

A-10は冷戦期の1972年に初飛行、1977年から実戦配備されました。この背景は、ベトナム戦争でアメリカ空軍は近接航空支援の必要性を痛感したこと、ヨーロッパでは北大西洋条約機構(NATO)に対してワルシャワ条約機構の地上戦力が圧倒的な戦力を保持し、それを食い止めるため、重武装で重装甲の攻撃機の開発を決定しました。

単座型のA-10Aが採用され、715機が生産されました。ヨーロッパや韓国など、アメリカ軍の前線基地に配備されましたが、1989年ベルリンの壁が崩壊して冷戦が終わると、A-10不要論が台頭、退役が囁かれました。それを覆したのが1991年の湾岸戦争で、A-10はイラク軍の戦車を900両以上、車両や対空火器などを大量に叩きました。

その後も1994年のボスニア、2001年のアフガニスタン、2003年のイラク戦争にも投入され生き残りました。マルチロール機が主流となる現在、再び退役の話が浮上しましたが対イスラム国との戦い、後継機となるF-35Aの開発が遅れたため、退役の話は当面なくなりました。ただし、複数の用途に使える機体が重宝される現代、A-10の延命はされても攻撃専門の後継機が登場する可能性はかなり低くなると考えられます。

期日: 2019/07/25
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