運輸安全委員会、JA206Jの重大インシデントでIHIとジェイ・エアに勧告

運輸安全委員会、JA206Jの重大インシデントでIHIとジェイ・エアに勧告

運輸安全委員会は2015年2月26日、2013年6月にジェイ・エアのCRJ-200ER、機体記号(レジ)「JA206J」がJAL2362便として、伊丹空港着陸後に右エンジンで火炎が発生した重大インシデントの報告書を公表しました。事故直後には、この件で燃料の噴射ノズルと配管をつなぐカップリングナットのゆるみを発見し、これを2013年6月に航空局へ通報しています。

原因は、右エンジンのマニホールドと14番インジェクターを接続するナットが緩み、その部分から漏れた燃料がエンジンの熱で発火、着陸後に誘導路を自走中に、右エンジン火災の警告メッセージ表示、さらにエンジンの発火に至ったと見ています。ただし、ナットの緩みは、締付け力が不足し、エンジンの振動などによる緩みが発生した可能性があるとしつつ、その緩みの原因は特定できなかったとしています。

ただし、同型式エンジンの一斉点検を行った26台のうち、3台に規定値を外れる緩みが見つかり、ゆるみはIHIが分解検査を行ったエンジンであったことが確認されました。このため、運輸安全委員会はエンジンの分解整備時に、インジェクターとマニホールドの接続カップリングナットの締付けなど、安全上の重要な作業が確実に実施される体制か、再点検を行うようIHIに勧告しました。

また、運航していた機長、副機長がエンジン火災の警告メッセージが表示された状態のまま、機体を風に正対させず、停止もさせず、駐機場に入っていました。このため、運輸安全委員会は規定に従い、危機意識を持ってエンジン火災の警告メッセージへ対応する措置を最優先、迅速に行われなかったとして、ジェイ・エアに安全上重要なシステムの機能について教育訓練の充実、火災発生時の訓練の内容を見直すよう勧告しました。

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