セントレア、全日空B787初号機記者発表会のご報告

セントレア、全日空B787初号機記者発表会のご報告

2011年1月にスタートしましたFlyTeam ニュースですが、多くのみなさんにアクセスいただけるようになり、遂に記者発表会に参加させていただきました。これも、日頃の読者のみなさんに支えられてのことだと感じております。ありがとうございます。

では、10月21日セントレアで開催された全日空ボーイング787初号機記者発表会のご報告をお届けいたします。

名古屋へは東京から夜行バスを利用したので、午前5時30分に到着しました。名古屋からは名鉄で移動です。「どうせなら…」と、ちょっと贅沢をして午前6時発の空港特急「ミュー・スカイ」に乗り30分で、セントレアに到着です。空港内には「ANA 787初号機特別飛来」のポスターが何枚も貼られています。さすが787の35パーセントを製造する地元です。

バスからの787

展望デッキ「スカイデッキ」のオープンが7時からなので、油断して朝食を食べたりして午前7時5分ごろデッキへ出るとすでに先端部はファンでいっぱいでした。平日でしかも到着は午前10時25分と発表されているのに、地元のファンは熱心過ぎ(?)です。聞くと皆さん始発電車で駆けつけたそうです。前回のテストフライトのときにやはり大勢のファンが駆けつけたので、その反省を生かしているのだそうです。

セントレアでは、スカイマークの737-800が早朝からタッチ&ゴーを繰り返す訓練飛行をしているほか、ステイしていた機体が続々と出発していきます。なかでも737の多さが目につきます。ANKの737-500にいたっては「こんなにあるの?」と思うほど離着陸しています。

そんななか、ファンの皆さんは携帯端末で情報収集に余念がありません。「羽田を離陸した」、「山梨上空」、「愛知へ入った」などなど…。テレビクルーもファンから情報を得ています。いよいよラジオから全日空787のコールサインが入ってきました。

787のエンジン

待つこと数分で、主翼を大きく反らしてエンジンポッドの大きさの目立つ787独特の機影がランウェイ36にアプローチしてきます。ファンもテレビクルーも一斉にレンズを向けてシャッターの音が響きわたります。デッキの興奮とは無関係に静かにスムーズにランディングしました。その一瞬には拍手も沸き上がりました。「愛知へお帰りなさい」ということなのでしょう。午前10時27分、ほぼオンタイムのランディングです。

シャッター音の鳴り響くなか、やはり静かに202番スポットへ入り787はエンジンをカットしました。当初はデッキ下の11番スポットへ入るはずですが、同じ側の沖止めスポット202番に変更となりました。後で聞いたら空港運用の都合があったほか、デッキからの見やすさも考慮して決めたとのことです。

到着後しばらくはアングルを変えて撮影するファンが目立ちましたが、しばらくするとサーっといなくなってしまいました。仕事や学校を半休して来ていたのでしょうか?

昼過ぎに取材受付に集合です。当日は愛知地区の関係者への披露も兼ねていたようで、スケジュールが混んでおり取材も時間を区切ってのものでした。テレビ、新聞、雑誌など約50人が集まり、2台のバスに分乗してスポットへ移動です。テレビクルーは、すでにバスの中から「あっ、機体が見えてきました」とレポートし始めています。

シップサイドへ到着すると、ロールスロイス社のマークが入った大きな白いエンジンポッドが目に飛び込みます。機体は機首や主翼、尾翼と滑らかなラインで、表面も滑らかな印象です。それにしても地上から見上げるエアライナーは巨大です。

787のエンジン

外から撮影を終えると順番にタラップを登って機内の取材です。まだお客さんを乗せていない機体ですから、カーペットを汚さないように取材陣も靴にカバーをつけて機内へと入ります。メインドアからはいきなり青いLED照明が目に入ります。ここから未来のエアライナーを演出しているようです。

787入り口

そして9.11以降、乗客がなかなか見ることのできないコクピットへ案内されます。

787コクピット

コクピットは意外と広い印象で、大きな曲面ガラスのウインドウのおかげで窓枠も少なく明るく視界が抜群に良さそうです。そしてパイロット正面には薄くピンクがかったヘッドアップ・ディスプレイがあります。緑色の表示も確認できました。計器板は今や当たり前の大型カラー液晶が主役です。とても鮮やかな表示がされていました。

787コクピット、HUD

客室へと移動すると最前部は12席のプレミアムクラスです。2-2-2が2列の小ぢんまりしたスペースです。これは初号機(JA801A)が264席の暫定国内線仕様だからです。シートはシェル型のもので、1時間から2時間の国内線には充分贅沢なものです。

787、プレミアムクラス

普通席に移ると2-4-2の広々とした空間です。機内照明にはLEDが用いられており、その特徴を生かした7色の照明のデモが行われていました。これは1号機と2号機だけの仕掛けで、それ以外にはないものだそうです。通常は各色のLEDを組み合わせて点灯して、シーンに合わせた演出がなされるのだそうです。

787、照明デモ

シートは最近流行のシートバックの薄いもので、各席に液晶ディスプレイが装備されています。オーバーヘッド・ストレージも大きくなっているそうですが、そういえばそうかなというものでした。なにより目立つのは天地方向に拡大された窓です。以前から知らされていたことですが、実物を見ると「デカっ!」と思います。これは嬉しい改良点です。

それから液晶のサンシェードです。窓の下にあるスイッチを押すと「ジワー」っと青くなっていき、最後にはかなり濃くなってしまいます。従来の上げ下げ式のサンシェードでどのような不都合があったのか知りませんが、これはこれで未来的な装備です。

787、窓、LEDサンシェード

途中、トイレをのぞくと噂のウォシュレットが装備されているのを確認できました。これには各取材陣とも興味津々で代わる代わる撮影されていました。

787、トイレ

時間がなかったので、駆け足でしたが機内を見てかなり新しさを実感することができました。今度はぜひフライトしてキャビンの静かさや、高与圧でしかも加湿された快適な空間を実感してみたいものです。メンバーの皆さんのレポートをお待ちしています。

取材は小一時間ほどで終了し夕方の関空への出発を待ちます。予定は午後5時30分です。離陸を見ようとジワジワとデッキに人が増えてきました。

午後5時20分ごろにタラップが外され、30分過ぎには衝突防止灯が赤く点滅を開始しました。しかしそれからしばらく動きがないまま、空港はあっという間に暗くなってしまいました。「トラブったのかな?」、「7時の飛行機に乗るのだけど、間に合うかな?」と囁かれるなか午後5時50分過ぎに前照灯が灯り機体が動き出しました。

787、セントレア出発準備

この時間、ランウェイは午前中と逆の18に変わっていましたから、通常ならばスポットから出ると展望デッキから遠ざかるようにタキシングしますが、この日の787はファンサービスのためにグルッとエプロンを1周して展望デッキの前を通過してくれました。

点灯時間の長いLEDの赤い衝突防止灯と、やはりLEDの真っ白な前照灯で暗くなっても新しさをアピールしつつ、軽やかに787は離陸していきました。デッキでいつの間にか仲間になったファン同士も「おつかれさま」と声を掛け合いながら去っていきました。

すでに、FlyTeamメンバーより600枚にも迫る投稿されています。
ANA 787初号機、「JA801A」の写真は、こちら

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