YF-16を予期せず初飛行させたテストパイロット逝く

YF-16を予期せず初飛行させたテストパイロット逝く

ニュース画像 1枚目:YF-16 2号機とフィル・オーストリッチャー氏
© Lockheed Martin
YF-16 2号機とフィル・オーストリッチャー氏

F-16の原型機、YF-16を意図せず初飛行させてしまったテストパイロット、フィル・オーストリッチャー氏が、2015年12月18日に84歳で亡くなりました。ロッキード・マーティンの広報誌、Code Oneが伝えています。

1974年1月20日、オーストリッチャー氏は、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地(AFB)で、初飛行を2週間後に控えたYF-16 1号機の高速タキシー試験を実施していました。135ノットまで加速して安全に停止させる予定でしたが、予期せず機体が浮き上がって暴れ始めたため、機体の破壊を防ぐため離陸を決断して、約6分間の初飛行をして無事着陸させました。

このとっさの決断により、試作機が破壊されず開発計画が遅れることなく継続され、F-16は現在までに4,500機以上生産される大ベストセラーになりました。ちなみに公式な初飛行は、予定どおり1974年2月2日に実施されました。

オーストリッチャー氏は、元コンソリデーテッド・バルティーの空力エンジニアでB-36の開発に関わり、その後、海兵隊でF4Dスカイレイのパイロットを務め、ゼネラル・ダイナミックス(現ロッキード・マーティン)のテストパイロットになり、F-111とF-16の開発に関わりました。

ロッキード・マーティンを退職したのちは、ラジコン模型の製作と飛行に取り組んでいました。

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