2000年のオスプレイ墜落事故、操縦ミスの汚名をパイロット遺族が晴らす

2000年のオスプレイ墜落事故、操縦ミスの汚名をパイロット遺族が晴らす

ニュース画像 1枚目:オスプレイは自ら作り出した下降流にはまるセットリングに陥りやすい特性がある
© Sgt. Hector de Jesus / USMC
オスプレイは自ら作り出した下降流にはまるセットリングに陥りやすい特性がある

2000年4月8日にアメリカ・アリゾナ州で起きた海兵隊MV-22Bオスプレイの墜落事故に関して、操縦ミスが主な原因とされていましたが、遺族らの調査によりマニュアルの不備が主な原因であることが明らかになり、ロバートO.ワーク国防副長官が遺族に謝罪しました。News & Observerが、2016年3月10日付で報じています。

墜落事故は編隊での夜間訓練中で、操縦士のジョン・ブロウ中佐と副操縦士のブルックス・グルーバー少佐のほか、17名が搭乗していました。先行機のコンピューターが故障し、それに気を取られたのか編隊はアプローチ高度まで降下することができませんでした。先行機が急減速したので、後続していた事故機はヘリコプターのような急降下を行い、ローターが失速して地面に激突、横転して逆さまになってしまいました。19名全員が死亡しました。

事故から3カ月後の2000年7月に、海兵隊は事故原因について「操縦ミスが主な原因と思われる」とのプレスリリースを発表し、それが海兵隊の公式見解となってしまいました。

副操縦士グルーバー少佐の娘、事故当時は幼女だったコニー・グルーバーは、父親の汚名を晴らすべく操縦士ブロウ中佐未亡人のトリッシュ・ブロウとウォルター・ジョーンズ下院議員に助けを求めました。ジョーンズ下院議員は、2014年に就任した元海兵隊員のワーク副長官に再調査を依頼し、パイロットのミスは主因ではなく危険領域を示さなかったマニュアルの不備、対気速度表示システムの不備が主因であったことが明らかになりました。

事故後、マニュアルは改訂されており、遺族と機体メーカーは和解に合意しました。ジョーンズ下院議員によると、当時のチェイニー国防長官はオスプレイの計画キャンセルを恐れ「語ることができない死者をスケープゴートにした」と話しています。

コニー・グルーバーは「父の名誉を回復できた。もはや何の疑問もない」と喜びを話しています。

メニューを開く