国土交通省航空局は2016年9月30日(金)、福岡空港で発生した全日空(ANA)が運航する福岡発羽田着の便で、立ち乗り事案が発生したことを受け、旅客数と座席の不一致解消とあわせ、安全上の観点から、航空機の駐機場から移動開始までに旅客の着席、シートベルト着用を徹底させる方針です。
航空局は通達を改正する方針で、2016年10月25日(火)付でパブリックコメントを開始、11月23日(水)まで意見、情報を受付けます。通達改正は11月下旬、適用は12月中旬を予定しています。
改正する通達は、2012(平成24)年12月27日付国空航第749号・国空機第1055号の「離着陸時等の安全バンドの装着及びチャイルドシートの使用に関する要件等について」、1989(平成元)年12月1日付空航第769号・空検第928号の「本邦航空運送事業者が行う航空運送事業に使用される大型飛行機に係る装備等の要件」です。いずれも、乗客の安全を確保するため、離着陸時の安全バンド、いわゆる「シートベルト」装着について要件を定めています。
航空局はANAの立ち乗り事案を受けて、航空会社に現状や同種事案を調べたところ、出発時の旅客の着席確認時期にばらつきが認められたことから今回、関連する通達を改正します。航空局では、航空機が駐機場から移動を開始する前までに手荷物などの収納で旅客の着席やシートベルト着用が徹底されていない場合、不意の機体動揺で旅客が負傷
するおそれがあり、安全上のリスクがあるとの認識です。
改正では、航空会社は搭乗者などへ救急処置を行う場合など、正当な理由がある場合を除き、飛行機の離陸、着陸、地上滑走の間、旅客にシートベルトを着用させることを求める内容となります。通達の文面で、「地上滑走」を明確な文言に変更し、航空機が駐機場から移動を開始する前までに旅客の着席とシートベルト着用を徹底します。