航空会社 遠東航空
搭乗レビュー
#662 (I507) さよなら名機 MD-82(DC-9-82)。最後の搭乗になるだろう
搭乗写真
-
搭乗機 FE B2-28017 Mc... 続き
-
FE チェックインカウンター
-
FE ボーディングパス
-
FE065 定刻の出発
-
搭乗ゲート
-
真っ赤なワンピを身に纏い颯爽とシップ... 続き
-
グラスコックピット無縁のアナログ計器... 続き
-
L1ドアのペイントがさりげなく自己主... 続き
-
キャビンは広くはない。天井も低め
-
自席9A。フカフカのシートは性に合わ... 続き
-
FE 機内誌 “new easter... 続き
-
ウィンドウシェードの刻印が特徴的
-
MD-82 キャビンの様子
-
堅強的巨人になれるのか!?
-
そのカギを握る新機材
ATR72-6... 続き -
FE MD-82 Safety In... 続き
-
FE MD-82 Safety In... 続き
-
FE MD-82 Safety In... 続き
-
FE MD-82 Safety In... 続き
-
金門空港への最終アプローチ
-
金門空港へ到着
-
ありがとう、そして、さよなら、MD-... 続き
総評
一世を風靡した名機達が加速度的に引退を余儀なくされる中で、このMD-82も紛れもなく絶滅危惧種に指定されているでしょう。
比較的近場でMD-82への搭乗が叶うのは遠東航空。本邦一時帰国からベトナムへの帰途に台湾へ立ち寄り、MD-82への最初で最後の搭乗を果たしました。
【遠東航空について】
英名はFar Eastern Air Transport、当に読んで字の如く。
1957年設立の比較的歴史のあるキャリアですが、経営難による2008-2011年の一度運航停止を経て復活したフェニックスです。
台湾と中国の三通政策の推進、政府の後押しにより、大陸への就航も意欲的なようです。
新潟へのチャーター機も運行しています。
年老いたMDシリーズからATR72-600への切り替えも進めています。
旧型アナログジェットから最新アビオニクスのターボプロップへ、パイロットの機種変も大変そうです。
トランスアジア(復興航空)なき今、
#596 (I441) 迷走するトランスアジア。「2度あることは3度ある」はご勘弁
CI系、BR系に続く第3極に成長できるのか、注目です。
【予約時】
リージョナルですがwebsiteから予約、決済ができるのは便利です。
決済ページでエラーがでましたが、姓/名を逆にインプットしたら上手くいきました。
【チェックイン】
カウンターは台北松山空港の1Bアイランドで立栄航空と同居していました。
イメージカラーの真っ赤な制服に目が覚めました。
チェックインはスムーズに完了
【ラウンジ】なし。台北松山空港はスポッターに優しい空港で待ち時間も楽しいです。
【搭乗機・機材コンディション】
機番 B-28017, MD82 (DC-9-82)
コンフィグレーションN/A
1993年02月 初飛行
1993年03月 US登録(機番 N835AU)
1995年05月 同 抹消
1995年05月 FE登録
機齢 24.4歳
コンディション 良好
エンジン 2 x PW JT8D-217C
最初で最後の搭乗になるであろう、MD-82の概要に触れておきましょう。
初飛行は1981年07月、36年前の機材が現役で活躍しているなんて凄いことです。
前身のDC-9の開発・設計段階からはもう50年もの歳月が経過しています。
引退が加速するのも致し方ないことで「よく頑張ってくれた、ご苦労さま」と言ってあげたいです。
当時のディマンドと、機能(運航乗務員2名態勢)・性能がマッチしてベストセラーとなり、航空機関士が必要とされたB727を、運行コスト、低燃費、静粛性で圧倒したと聞くと、MD-80シリーズの革新性が分かろうというもの。エポックメイキングな機材でした。又、ナローボディーでYクラスシートを2+3のアブレストで配置できるのはユニークです。
MD-82のスペックは以下の通りです。
全長 45.02m
全幅 32.85m
全高 9.02m
最大離陸重量 67,812kg
離陸滑走距離 2,315m
航続距離 3,798km
巡航速度 ㍅0.75
最大座席数 172(Y)
【機内概況・座席(シート)】
Yクラス 2+3=5の標準アブレスト
クッションのような厚みのあるシートに時代を感じます。
原設計の古さは否めないものの、よくメンテナンスされているようで、機内は綺麗でした。
PW JT8D-217Cエンジンの咆哮(爆音)を期待したのですが、シートが前方であったためか、拍子抜けするほど静かな機内でした。
【客室乗務員】
真っ赤なワンピースに真っ赤なヒール。
着る人を選びそうな制服ですが、皆さん凛々しく着こなしておりました。
【機内食・ドリンク】
ショートホールにてドーナツとコーヒーの簡単な朝食
【エンターティメント&アメニティ】
FE 機内誌 “new eastern” 2017年05-06月号
MD-82に搭乗すること自体がエンターティメントであると言えます!
【トイレ・洗面台】未使用
【金門カーブ】
もう一つのおまけのお楽しみ
かの有名な啓徳空港への名物アプローチ「香港カーブ」
#013 (I012) オーストラリアからの一時帰国 SYD→HKG(啓徳空港)
ならぬ、金門カーブが味わえると聞いて楽しみにしていたのですが、
中国との国境際に多少余裕のあるRWY06へのアプローチだったようで、特に変哲のないアプローチとなりました。
【所感】
ある意味、究極の旧型の機材感を求めていたのですが、フカフカのシートが性に合わないくらいで、他は全く不自由を感じないフライトでした。機内コンディション的にはまだまだ現役で活躍できそうです。
もう乗るチャンスはないであろうこの機材を後にするときは、感傷がこみ上げてきました。
「Old soldiers never die, they simply fade away」
そうあって欲しい、そして君の幻影は決して忘れない。
比較的近場でMD-82への搭乗が叶うのは遠東航空。本邦一時帰国からベトナムへの帰途に台湾へ立ち寄り、MD-82への最初で最後の搭乗を果たしました。
【遠東航空について】
英名はFar Eastern Air Transport、当に読んで字の如く。
1957年設立の比較的歴史のあるキャリアですが、経営難による2008-2011年の一度運航停止を経て復活したフェニックスです。
台湾と中国の三通政策の推進、政府の後押しにより、大陸への就航も意欲的なようです。
新潟へのチャーター機も運行しています。
年老いたMDシリーズからATR72-600への切り替えも進めています。
旧型アナログジェットから最新アビオニクスのターボプロップへ、パイロットの機種変も大変そうです。
トランスアジア(復興航空)なき今、
#596 (I441) 迷走するトランスアジア。「2度あることは3度ある」はご勘弁
CI系、BR系に続く第3極に成長できるのか、注目です。
【予約時】
リージョナルですがwebsiteから予約、決済ができるのは便利です。
決済ページでエラーがでましたが、姓/名を逆にインプットしたら上手くいきました。
【チェックイン】
カウンターは台北松山空港の1Bアイランドで立栄航空と同居していました。
イメージカラーの真っ赤な制服に目が覚めました。
チェックインはスムーズに完了
【ラウンジ】なし。台北松山空港はスポッターに優しい空港で待ち時間も楽しいです。
【搭乗機・機材コンディション】
機番 B-28017, MD82 (DC-9-82)
コンフィグレーションN/A
1993年02月 初飛行
1993年03月 US登録(機番 N835AU)
1995年05月 同 抹消
1995年05月 FE登録
機齢 24.4歳
コンディション 良好
エンジン 2 x PW JT8D-217C
最初で最後の搭乗になるであろう、MD-82の概要に触れておきましょう。
初飛行は1981年07月、36年前の機材が現役で活躍しているなんて凄いことです。
前身のDC-9の開発・設計段階からはもう50年もの歳月が経過しています。
引退が加速するのも致し方ないことで「よく頑張ってくれた、ご苦労さま」と言ってあげたいです。
当時のディマンドと、機能(運航乗務員2名態勢)・性能がマッチしてベストセラーとなり、航空機関士が必要とされたB727を、運行コスト、低燃費、静粛性で圧倒したと聞くと、MD-80シリーズの革新性が分かろうというもの。エポックメイキングな機材でした。又、ナローボディーでYクラスシートを2+3のアブレストで配置できるのはユニークです。
MD-82のスペックは以下の通りです。
全長 45.02m
全幅 32.85m
全高 9.02m
最大離陸重量 67,812kg
離陸滑走距離 2,315m
航続距離 3,798km
巡航速度 ㍅0.75
最大座席数 172(Y)
【機内概況・座席(シート)】
Yクラス 2+3=5の標準アブレスト
クッションのような厚みのあるシートに時代を感じます。
原設計の古さは否めないものの、よくメンテナンスされているようで、機内は綺麗でした。
PW JT8D-217Cエンジンの咆哮(爆音)を期待したのですが、シートが前方であったためか、拍子抜けするほど静かな機内でした。
【客室乗務員】
真っ赤なワンピースに真っ赤なヒール。
着る人を選びそうな制服ですが、皆さん凛々しく着こなしておりました。
【機内食・ドリンク】
ショートホールにてドーナツとコーヒーの簡単な朝食
【エンターティメント&アメニティ】
FE 機内誌 “new eastern” 2017年05-06月号
MD-82に搭乗すること自体がエンターティメントであると言えます!
【トイレ・洗面台】未使用
【金門カーブ】
もう一つのおまけのお楽しみ
かの有名な啓徳空港への名物アプローチ「香港カーブ」
#013 (I012) オーストラリアからの一時帰国 SYD→HKG(啓徳空港)
ならぬ、金門カーブが味わえると聞いて楽しみにしていたのですが、
中国との国境際に多少余裕のあるRWY06へのアプローチだったようで、特に変哲のないアプローチとなりました。
【所感】
ある意味、究極の旧型の機材感を求めていたのですが、フカフカのシートが性に合わないくらいで、他は全く不自由を感じないフライトでした。機内コンディション的にはまだまだ現役で活躍できそうです。
もう乗るチャンスはないであろうこの機材を後にするときは、感傷がこみ上げてきました。
「Old soldiers never die, they simply fade away」
そうあって欲しい、そして君の幻影は決して忘れない。
フライトログ
搭乗の詳細データです。
- 座席番号
- 9A
- 搭乗クラス
- Y
- 区間マイル
- 206
- 出発予定時刻
- 08:30
- 搭乗時刻
- 08:15
- 出発時刻
- 08:32
- 到着予定時刻
- 09:30
- 到着時刻
- 09:37
- 予定飛行時間
- 1:00
- 出発空港 天気・気温
- ☀
- 出発ゲート・スポット
- 9
- 離陸滑走路
- 10
- 離陸時刻
- 08:42
- 到着空港 天気・気温
- ☁
- 着陸滑走路
- 06
- 着陸時刻
- 09:35
コメント
コメントする
コメントを書くにはログインが必要です。
ログイン・会員登録はこちら航空フォトを投稿・公開しませんか?
FlyTeam(フライチーム)では、飛行機フォトを投稿・公開するブログ機能を提供しています。すでに、3,384,358枚の航空フォト(画像・写真)が投稿されています。
westtower様
たびたびすみません、HB-JMBでございます。
まず、B727が航空機関士が必要な3発機とした理由は、細かい数字は忘れましたが70席だか80席以上の機体では開発当時は運航乗務員2名体制が認められておらず、B727はその制限値以上の機体だったため航空機関士乗務の機体として作らざるを得なかったという事情があります。
それではなぜMD-80が2人乗務が認められたかというと、原設計であるDC-9では確か70席程度の機体であり、胴体の長さは違うがそれと同じコクピットで運航できるという理由でDC-9/MD-80では2人乗務が認められたという経緯があったはずです。ただし、DC-9シリーズとMD-80では操縦士の機種限定は法的には同じものの、操縦席のアビオニクスは異なり、MD-80シリーズの方が新しくなっております。そのため、DC-9-41型を導入していた日本エアシステムが胴体の長いDC-9を導入するにあたり、新しいシリーズであるMD-80型に生産は移行したものの、DC-9-41型と同じコクピットで機体長だけMD-81と同じ機体を導入し、それをDC-9-81と称し、機種限定は同じだがコクピットが違うということから運用も普通のMD-81とは別にしていたという記憶があります)。なお、こうした取扱については政治的なことも絡んでいるとは言われますが、ここではとりあえずそれは脇においておきます。
当然DC-9の成功に対してライバルのボーイングはというと、双発のB737を開発し、DC-9シリーズをはるかにしのぐ販売数で世界で最も売れた旅客機となり、今でもその改良型のB737MAXが開発され生産されていることは周知の通りです。余談ですが、B737シリーズが世界で最も売れた旅客機になる前はDC-9シリーズではなく、B727が世界一売れた機体でありました。
そうなると、なぜ双発のDC-9シリーズではなく3発機のB727のセールスが(世界的にみると)よかったということですが(もちろん政治的なことの絡みがない・・・とは言い切れませんが先ほどのDC-9の2人コクピットの話同様とりあえずそれは脇においておきます)
1.当時の2発機ではアメリカ大陸内路線なんかでは使い勝手はよいが、洋上が絡む路線となると60分以内に代替着陸空港が見つけられないと使うことができず、洋上の飛行が必要となる路線では使いにくい場合がある(例えば、日本~グアム線では仮に需要がDC-9クラスでも投入できず、コンチネンタル航空はETOPSの許可を受けたB737-700を投入するまでは、そのクラスの需要の路線には3発の727を長らく使用していたという事例があります)
2.1.と似たような話で、メキシコシティーやラスベガスなどの標高の高い空港では当時のDC-9では離陸性能が悪く運用がしにくいとされること。そのため、ダグラスですら、アメリカの航空会社の意向を受けてDC-10を開発しようとした際、米国内のそうした空港への運航状況を考慮しあえて3発機として開発したほどであるし、そのDC-10ですら、離陸性能の関係でいわゆるメキシコシティー専用設計とさえいわれるDC-10-15型というモデルすら存在したことから、こうした場所でのDC-9は恐らくはB727と比べると運用はかなりしにくいものと考えられる。またこうした空港の運用条件から、のちにボーイングが767/757を設計するころですら当初は双発とはせず3発か4発にする(たしか3発だったと思われる)案すらまじめに検討されていたともされるほどである(なお、B757/767では双発となったのは周知の通りだが・・・。ただし、B767/757でも3人乗務か2人乗務にするかには少々面白い経緯があるがこれはMD-80シリーズの話なので省略)
3.これはあくまで私の推測ですが、DC-9の原設計では2人乗務できるぎりぎりのサイズの小型の機体であることから、短距離多頻度での運航には向いているが、ライバルのB727より航続距離を(相対的に)長く取ることはできず、中小型機でも長距離の運航そしてETOPSに対応させて欲しいという航空会社の移行をくんだMD-80型機の後継機種の開発ができず(もちろん、これにはその時期にダグラス社の経営危機があり、マクドネルダグラス社になったことによる問題も遠因といえなくはないが・・・)に時代の流れに取り残されることになってしまった。
4.同じサイズの機体としてボーイング以外にエアバスA320が開発されてしまった。これは3.と同様の理由になりますが、A320の原設計では目下の航空会社の要望を取り込みかつ技術的にも最も革新的なもの詰め込んだとされる「(設計も)新しい機体」であり、最初から2人の運航乗務員で運航でき、航続距離もかなり長く、新しいエンジンを搭載し騒音面でもパワー面でも優れ、かつ信頼性も高めることでETOPSにも対応できたことから、DC-9がそうした面ででも見劣りするものになってしまった。
余談ですが、日本で飛んでいたMD-81と機体およびコクピットの中身は同じながらよりハイパワーエンジンを積んだ(たしか離陸重量もそれにより多くすることができた)MD-82型とMD-83型というサブタイプを用意していたので、メーカーが小型機でも航続距離を伸ばすような努力をまったくしていなかったわけではないということは付記しておきます。
またしても長々と恐縮ですが・・・。HB-JMB
westtower様
HB-JMBでございます。
先のコメント慌てて書いてしまったのでいくつか補足をさせていただきます。
DC-9ではウェイトアンドバランスを取るのは他の機種よりも難しかったとされております。それは以下のDC-9の構造上の理由とされております。
1.横2-3配置となると、当然左右で非対称な重量配分であることから、座席のアサインや貨物搭載位置を検討する場合には左右のバランスについて細心の注意を必要とすること。
2.エンジンが後方胴体に配置されているため、乗客や貨物のアサインは前方から行う必要があること。
2.に関連して貨物搭載に関しては、後方にエンジンのあるB727ならともかく、B737との比較になると、機体の構造およびウェイトアンドバランスの関係上、機体後方には重量のある貨物は積めず、(記憶があいまいですが)もし後方に貨物室があったとしても、翼とエンジンとロワーデッキとのクリアランスとの関係上貨物ドア開口部も小さくせざるを得ないことから手積み(バルク)でも積みにくいとされております。さらにB737との比較では、ロワーデッキの床面がB737より高いのですが、さりとてワイドボディー機のように搭載機械を使用してまで・・・という高さ(および搭載貨物重量および容積)でもないため貨物の扱いの面では意外と不利とされています。なお、B737でも後から開発されたA320と比べると貨物の扱いでは不利とされます。B737では手積みでしか対応できませんが(これは737NGはおろか、MAXになってもそのまま)、A320では(航空会社がオプションを採用すれば)、コンテナ使用もできるためです(ただし、コンテナを扱うには機体がコンテナ対応のオプションを採用しているだけでは使えず、コンテナ取扱をするための特別な地上機材を自分の航空会社の就航地点に配備する必要があるため、このオプションを実際に採用している例は多くはないですが)
DC-9ではエンジンの位置が高いことから、地上から巻き上げた異物の吸い込みはしにくいというメリットはあるものの、それゆえ、足場を組むなり、高所作業車などを用意しないと点検がしにくいということから、整備面ではB737から比べるとそうして面で手間がかかることになります。(もちろんこれはB727やDC-10の第2エンジンでも同じですが)
MD-80シリーズの航続距離は確かにMD-82では4000km近くはいけるようですが、実質的な燃費の悪さから、計算上ではなく実際の航続距離は意外と短いようです。JASが沖縄から東北まで冬季のノンストップ便を運航する(というかできる)ようになったのは、MD-90型機を導入して以降の話となります。余談ですが、そのMD-90型といえども、退役惜別特別チャーターツアーを実施した際、釧路発大分行きの便を運航したのですが、それでも、冬季では伊丹空港での技術着陸を検討していたというぐらいです。当然それより古い狭い意味でのMD-80シリーズ(MD-81,MD-82およびMD-83型)でもカタログ燃費はともかく、長距離運航時の「実質的な」燃費や航続距離は意外とよくないようです。
というのは、たしか前にB737-700ERでの成田発ムンバイ行きでは福岡か長崎での技術着陸を行った技術的な理由の説明に類似しますが、DC-9シリーズは短距離多頻度運航で最適にある機体として作られた関係で、航続距離を伸ばす際に有利となる高高度での飛行性能はそれほど重要視していなかったため、実際に距離の長い路線で飛ばすと思ったより燃料を消費する機体だった可能性が考えられます。短距離多頻度運航の場合、与圧の繰り返しによる金属疲労を考えると、長距離運航での効率の良さを最優先に考えた機体よりも巡航高度の想定を低くせざるを得ないという技術的な理由が考えられます。短距離多頻度運航で(飛行時間と、上昇率および降下率のバランスから考えて)必要以上に高い巡航高度での飛行を想定すると、与圧と減圧の繰り返しに伴う機体構造を強化せざるを得なくなり、その結果機体重量は重くなってしまうことになり、結局は燃費面での運航効率は落ちることになります。
またまた余談ですが、短距離多頻度運航に特化した機体としてはB747SRであるとか、B747-400Dという機体が有名ですが、これらの機体では、通常型(SRのないB747在来型およびB747-400)より与圧高度の設定値が高め(つまり、与圧の圧力は低く)にしてあったとされております。SRおよび-400D型では日本の国内線向けの機体であったことから、そのような短距離路線では長距離国際線のような高度まで上昇することが少ない上、上昇したとしてもその高度で巡航する時間は国際線仕様機材と比べると極端に短い(例えば羽田~伊丹線でフライトタイム40分程度と仮定すると、レベルフライトは10分もあれば長い方といった状況を思い浮かべればよいかと)ため、離着陸回数を多くこなしても持ちこたえる強度のある機体にするには与圧圧力を低めにした方がよいという事例からも、短距離多頻度運航に適した機体では、「最大巡航可能高度(その中に「高高度での飛行性能を含む)」と「(フライトサイクルに対応する)機体の耐久性」がどうしてもトレードオフにならざるを得ないという面は否めません。補足として、B737(特にNG以降)やA320では小型機でも長い航続距離を取ることはできますが、これらの機種では短距離多頻度運航を主としつつも、長距離で運航しても(長距離運航を主とした中大型機ほどの効率とまではいかなくても従来型の小型機よりは)航続性能の低下が少なくなるように設計(あるいは改良)されているためであって、上述の航空力学面でのトレードオフ自体が技術で完全に克服できたとまでは言えないかと思います。
とはいえ、DC-9が開発されたころの原設計、かつMD-80型に改良したころの状況でB737NGやA320のような面まで考慮した設計の機体を実現することは難しいでしょうし、技術的に可能であったとしてもそうした需要が航空会社にあったかというと少々微妙なところはありますから、当時の技術水準ならびに航空会社の状況を考慮すればwesttower様のおっしゃっている「MD-80シリーズの革新性が分かろうというもの。エポックメイキングな機材」という表現はけっして間違っておらず、むしろ至極当然と言えます。B727やB737、そしてA320という150席クラスのベストセラー機はDC-9のストレッチ型の成功を受け、それに負けない機体を造らないとセールスが伸びないというメーカープレッシャーなしには実現しえなかったといえる面はあるわけですので。
またしても長々と恐縮ですが、ご参考までに。HB-JMB