#615 (I460) ベトナム航空と全日空の提携で浮上するVNのスターアライアンス移籍の可能性 - ベトナム航空 口コミ・評価

航空会社 ベトナム航空

2024年04月10日に撮影されたベトナム航空の航空機写真

© パンダさん

IATA | ICAO
VN | HVN
アライアンス
スカイチーム

搭乗レビュー
#615 (I460) ベトナム航空と全日空の提携で浮上するVNのスターアライアンス移籍の可能性

航空会社
ベトナム航空
便名
VN1820
エコノミー
搭乗日
2016/08
路線
フーコック → ホーチミン
機体記号
VN-A381
機材
Airbus A330-223
総評:3
3ッ星
機内食・ドリンク
2ッ星
座席(シート)
3ッ星
機内スタッフサービス
3ッ星
エンターティメント
3ッ星
トイレ・洗面台
無評価
機材コンディション
3ッ星
地上サービス
3ッ星
口コミ投稿者
westtowerさん
アクセス数
1,216
投稿日
2016/11/25

搭乗写真

  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    搭乗機 VN-A381 A330-2... 続き
  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    VN ボーディングパス
  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    PW4168Aエンジンを間近にみられ... 続き
  • 写真の種類:座席(シート)
    VN Cクラス キャビン/シート
  • 写真の種類:座席(シート)
    VN Yクラス シート
  • 写真の種類:座席(シート)
    国際線対応機材にしてこのレッグスペー... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    フーコック島、また来るよ!
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
  • 写真の種類:機内エンターティメント・アメニティ
    VN 機内誌 “HERITAGE” ... 続き
  • 写真の種類:機内エンターティメント・アメニティ
    VN 機内誌 “HERITAGE F... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    発展著しいホーチミン摩天楼
  • 写真の種類:機窓・風景
    タンソンニャット空港に到着。隣にはV... 続き

総評

【リマークス】
フーコック島でゴルフとイカ料理を楽しんで帰路につきます。A320やATR-72が主流だったフーコック空港には珍しい大型機A332が搭乗機と知ってびっくり。フーコック空港も増加する旅客に対応するため拡張計画があるとも聞き、機材、インフラ両面からフーコック人気を肌身で感じる機会になりました。
【搭乗クラス】Y
【座席(シート)】10A
【機材番号】VN-A381
【機材】A330-223
2011年10月 初飛行、同年11月 ベトナム航空 登録、2016年11月現在現役続行中、機齢 5.9歳
【航空フォト】
【エンジン】2 x PW PW4168A
【機材コンディション】問題なし
【出発予定時刻】15:40
【機内食・ドリンク】ミネラルウォーター 1本
【機内スタッフ】アオザイ美人
【エンターティメント】機内誌 “HERITAGE”
【トイレ・洗面台】不使用
【空港サービス】
【区間マイル】187
【トピックス】
既報、ベトナム航空と全日空の資本・業務提携はご承知の通りです。前号のレビューではVNとNHのマイレージプログラムがどのように融合・親和していくのか、それに伴い自身のマイレージ戦略をどのように考えるかについて書きました。

今回はアライアンスの枠を超えての資本・業務提携となった訳ですが、果たしてどちらかが所属アライアンスを移籍するような大掛かりな事態に発展するのかどうかについて、考察してみます。

先ずはNHのスターアライアンスからの移籍可能性は論を待たずあり得ません。成田/ホーチミン線のダブルデイリー化、VNとのC/S拡大、自社運航によるカンボジア・プノンペン就航、実質VNの傘下にあるといっても過言ではないカンボジア・アンコール航空(VNが49%の大株主)とのC/Sへの発展等、NH主導でどんどんドライブを効かせて東南アジア戦略を有利に推し進めていくものと考えています。

一方、被出資者のVNのスタアラ移籍はあるのか。
近年では押しも押されもせぬブラジルの雄 TAM航空が隣国ランチリ航空(当時。現ラン航空)に買収され、ランチリの所属するワンワールドへ移籍する大型トレードの例がありましたから「もしや」と
想像を膨らませても不思議はありません。
然しながら、個人的には一足飛びに移籍が現実化することはないと見ています。
その理由は、
① NHのVNへの出資比率(VN株式保有比率)は8.77%で、アライアンス移籍をごり押しするまでの影響力はない(前述JJの事例はLAによる買収であったのに対し、VN-NHは資本提携に留まる)
② スタアラのアジアの雄、隣国 タイ航空のプレゼンスが大きく、VNがスタアラに移籍してもスタアラ内でTGに埋没するだけであり、NHとしてもエリア戦略上TGの存在が有効化しており、VNのスタアラ化には必要性を感じていない
③ 中国キャリアとの蜜月関係は強固なるも、東南アジアではちょっと影の薄い存在のスカチイチーム。DL、KL、AF、SUにとって、VNやガルーダは貴重な東南アジアの橋頭保として手放す訳にはいかない
④ VNは、嘗ての宗主国のフラッグキャリアAFの支援でスカチー入りを果たした経緯もあり、AFへの恩義を無視できない
⑤ 2016年 冬スケジュールもデルタ航空北米路線でのコードシェア体制に変更は見られない

所属アライアンスはそのままに、NHとVNの業務提携は深まっていくものと予想しています。次のステップとして、NHはVN(と配下のK6)とのC/Sを通じたラオス・ビエンチャンへの乗り入れを虎視眈々と狙っていると見ています。

コメント

  • 2016/11/25 18:30:39

     westtower様
     
     たびたびすみません、HB-JMBでございます。

     NHが8.77%VNに出資したからといって、VNがアライアンスを乗り換えないのではというwesttower様の読みは私も同意するところではありますが、westtower様が挙げた①について、さらに補足をエティハド航空パートナーズ関係の会社とVNと同じKEとOKの実例について分析していきたいと思います。

     1.エティハド航空が出資しているエアベルリンは出資比率が29.91%となっているものの、ワンワールドを脱退して、エティハド航空パートナーズに乗り換えているわけではない。出資によりアライアンスが決まってくるためには、大韓航空がチェコ航空に49%出資しているように、それなりの出資比率が必要となる。

     2.エティハド航空が49%出資しているアリタリアイタリア航空でも、スカイチームからエティハド航空パートナーズに乗り換えていないことから、出資元のエアラインが出資先のエアラインと同じアライアンスに加盟するためには、出資比率が高いことは必要な条件の1つではあるが、それ以外の要因も必要で、出資比率が決定打というわけではない(ちょっとこなれた言い方をすれば、資本関係がある場合において出資元と出資先が同じアライアンスに入るためには、出資比率の高いことは「必要条件」ではあるが、「十分条件」ではない)

     3.上述に関連して大韓航空とチェコ航空の場合、チェコ航空がなぜすんなり同じアライアンスに落ち着いたかというと、大韓航空はソウルから世界中に路線があるが、チェコ航空はヨーロッパ中心の路線網であったため(一時期はA310でプラハ~ニューヨーク線に自社運航していた時期があるが、スカイチームに入り、自社運航を取りやめ、デルタ航空運航便へのコードシェアのみとした)、提携しても重複するところがほぼない状況であったものと考えられ、また、大韓航空がソウル~プラハ線を就航させても、プラハ以遠のヨーロッパ内路線で提携しているキャリアがないと、大韓航空といえどもこの路線で採算を取ることは難しいと考えられる。(プラハあたりでは、中東系やTK,はたまた旅行者数がうなぎのぼりといわれる中国系航空会社であればともかく、東アジアから就航する場合には、プラハ以遠の欧州内路線との提携がないと採算を取ることが難しいものと思われる)。つまり大韓航空とチェコ航空両方にメリットがある提携であると見られる。

     これは別のところで書きたいと思いますが、全日空が1999年にスタアラに加盟した理由もそのアライアンスに大きなメリットがあったからだと思われます。

     書きかけで恐縮ですが・・・。HB-JMB

     

  • 2016/12/03 00:17:48

    westtower様

     たびたびすみません、HB-JMBでございます。

     全日空がスタアラに加盟した理由としては、当時今のように成田で確保しているスロット数が多くなかった(日本航空は言うに及ばず、ノースウェスト航空よりも少ないとされる状態)ため、ディスティネーション拡大のために自社便を増やせず、おのずから共同運航で増やすしか方法がない状況であった。そして、当時世界的な航空会社の提携である程度しっかりしたものはクオリフライヤー(旧スイス航空中心)かスターアライアンスぐらいしかなかったが、クオリフライヤーではヨーロッパではいいがそれ以外は弱かったため、ヨーロッパ以外にアジアや北米へのネットワークを構築したかった全日空にはスターアライアンス加盟以外の選択がなかったとされること。(ちなみに共同運航自体はノースウェストとKLMの大西洋路線では1991年あたりから始まっていて、KLMとノースウェストとの提携は当時最も成功したものとされる)

     成田で2本目の滑走路が供用し、暫定供用で本来の滑走路の長さよりも短いため、B滑走路供用で増えたスロットは中型機までの機体サイズでかつ路線距離の短い路線にしか使えなかったものの、全日空はスターアライアンスとの提携があったため、使用機種や路線が限られているB滑走路限定使用の新しいスロットしか配分されなくても、その新しいスロットで運航できる範囲の機材および路線での運航に集中でき(主にB767での中国路線やB737のちにA320の国際線投入。他にもB767やB777-200での東南アジア路線。なお、離陸時はB滑走路を使わないがB767は)、スタアラ提携各社が成田発着近距離路線と接続することにより、当該路線の利用率を上昇させる要因となり、最小の投資で(とはいっても投資を控えたというよりは長距離路線に使えるA滑走路を使えるスロットはあまり保有していなかったため、自社で長距離路線や大型機材を使えるような路線を大幅に拡充できなかったという消極的な動機であるにせよ)利用率や利益率を拡大させることができ、それが全日空の今を支える原動力になっているといっても過言ではないわけで・・・。

     やはり提携する会社に取ってメリットのない形ではいずれ提携は破棄されることになるので、いかに全日空にとってスターアライアンスが適合していたかを長々と書くことにした次第です。

     なお、全日空とガルーダの提携の例もwesttower様の②の説明が当てはまるところかと思われます(ガルーダには全日空は資本を入れていたかを忘れてしまいましたが・・・)。もっともガルーダの(運航エリアの)場合はTGに加えSQの「エリア戦略が有効」ということになるかとは思います。

     余談ですが、仮に⑤の条件が変更となり、今後デルタが大韓航空との提携に重きをおき、ハブを成田からソウルに・・・と考えたとしても、大韓航空自体は日本の地方空港にまで乗り入れがあり、乗り入れ地点では日系に引けを取らないため、ベトナム航空にとってスカイチームを通した日本の乗り入れ数が(日系と同じアライアンスに属さなくても)減少するわけではないため、無理にアライアンスを変更する要因にはならないものと思われます(例えば大韓航空がある日本の地方空港に就航しない曜日があっても、全日空との提携で日本経由で全日空が就航している日本の地方都市へのアクセスは確保できるケースが多いものと思われ)

     またしても長々と恐縮ですが、ご参考までに。HB-JMB

     

  • 2016/12/04 16:53:12

    HB-JMBさん

    アライアンスに至った背景や再編についての2016-11-25 18:30:39の貴コメント、ご教示有難うございます。出資比率の多寡は「必要条件」ではあるが、「十分条件」ではないとのご指摘はストンと腑に落ちる内容です。

    アライアンスを巡る動きとして、
    ・エティハド・パートナーズ
    (これは小生も勉強不足で、実際に2016年08月にJet Airways搭乗の際、エティハド・パートナーズCIが入ったボーディングパスが発券され「何これ?」と気付いたのが発端で、エア・ベルリン含め掛け持ちエアラインが多いものの結構広範囲に緩いアライアンスを組んでいるのだなと知った次第)
    【参考写真】http://flyteam.jp/airline/jet-airways/review/30849/169553
    ・エミレーツのスカイワーズ
    (特にカンタス航空との急接近、蜜月関係はワンワールドにとって捨て置けないか?)
    ・バリューアライアンス
    等は今後のアライアンス動向を占う意味で重要かつ興味があるところです。この点は別途意見を交換させていただけたら幸いです。

    返信が滞っており失礼を致しております…

  • 2016/12/11 19:55:42

     westtower様
     
     HB-JMBでございます。エミレーツのスカイワーズとバリューアライアンスの件も思うところがあり、どこかでお書きしたいと思っていたのですが、こちらに書いていきます。

     EKとQFの提携については、以下の点を考慮する必要があるものと思われます。

     まず、2010年前半のオーストラリアの景気後退によるQFの業績不振(資源価格の急落によるものが大きいとされ、その影響で日米の自動車メーカーがオーストラリア内の工場を撤退させるか否かの検討に入り、雇用確保の面でなんとか中止して欲しいと通商上の交渉があったころ)が発生していたという状況が前提となります。
     そのとき、すでに提携していたBAに支援を求める交渉を行ったものの、うまくいかなかったとされております。そこでBA以外の会社との包括提携を模索することとなりますが、そのときEKが他社では有り得ないような好条件を出してEKとQFの包括提携を行うこととなります。BAとの提携は2012年に破棄され、2013年にはEKとの包括提携が結ばれることになります。

     オーストラリアではシドニー~ロンドン線がカンガルールートといわれ、最もQFが注力するルートと言われていますが、これを今までは主にシンガポール経由だったものをドバイ経由に変更させ、さらに豪欧間で広範なコードシェアを行うというものであります。

     EKがなぜそこまでの好条件を提示したかといえば、一般的にはいわゆるオイルマネーとされていますが、航空業界的な見方をすれば、カタール航空やエティハド航空にオセアニア~ヨーロッパ間の競争で先を越されないためにQFを取り込みたかったという事情があるものと思われます。

     特にカタール航空はQFやBAと同じワンワールドというアライアンスという利点から、万一カタール航空とQFで包括提携を結ばれてしまうと、いくらエミレーツでも対抗するのは容易ではないためという事情が考えられます。特に、カタールとUAEは国、つまり航空協定の主体が別であるという点はかなり厄介で、アメリカのビック3が政治力をもって押さえつけようにも、カタールとUAEが国同士で我先に、相手に出し抜かれないようにと思っている状況でかついわゆるオイルマネー(カタールは天然ガスですが)による余裕もあるため、いくらアメリカといえども、この2カ国を同時になだめなくてはなりませんからかなり厄介であります。しかも、もしUAEとカタールを押さえられても、クウェートやサウジアラビアなど近隣産油国がありますし、トルコ航空もイスタンブールがハブで、それなりに影響力がありますから、アメリカの目論見どおりに(例えば日本のように)これらの国の航空政策をというのは相当困難なものと思われます(次の大統領が今後アメリカの経済的利益最大の行動を露骨なまで取るにせよ、競争の環境、ライバルの状況を考えればという点において)。

     では同じUAE内のエティハドとエミレーツとの競争関係についてですが、エティハドは世界の航空会社に出資をすることによりエティハド航空グループにすることを考えていますから、ドバイからのディスティネーションをできるだけ多く就航するが、それぞれの域内では今までの個別的な提携を行うエミレーツには脅威であると思われます。万が一にでもエティハドにQFの業績不振の間に出資を含む提携契約などをQFと結ばれてしまえば、いくらドバイからオーストラリア間での路線の選択肢が豊富とされるエミレーツでも、オセアニア内での提携を持っていなければ、ドバイや欧州発オセアニア周回運賃は組めませんから(逆方向も同じ)、エティハドに先を越されてしまうとこれまたエミレーツといえども競争面では不利になるものと思われます。

     まとめると、いろいろな意味で勢いのある中東3大キャリアの(欧米やアジアとは違ったレベルでの)陣取り合戦の要素があるということであり、その市場の1つにオセアニア市場があるということです。毎度のごとく恐縮ですがこれはあくまでの私の見立てであり、このような説は公式、非公式問わず書いている人・サイトはあまりないのですが・・・。

     さて、この提携によるカンタス側のメリットですが、何よりドバイ~欧州区間で路線数や便数が大変豊富なエミレーツとコードシェアできるため、欧州内乗継を伴わず(ドバイでのワンストップだけで)QF便名で設定できる欧州内ディスティネーション数が大幅に増えたことと、ゲート数、とりわけA380対応ゲートがシンガポールなどとは桁違いとされるエミレーツ専用のターミナル3に自社便として乗り入れられること(カンタス以外で、いわゆるLCCターミナルのターミナル2を使っている航空会社はすべてターミナル1)といったことが挙げられます。かつてはQF自社でフランクフルトへの乗り入れを行っていたものの、業績不振ならびにエミレーツとの提携による路線再構築で取り止めになり(フランクフルトはEK便へのコードシェアとしてのみ乗り入れ)、QF自社での欧州内乗り入れはこのときからロンドンだけになりました。また、シンガポール経由からドバイ経由での運航になったことにより、QF運航のシンガポール~ロンドン線も廃止になったようです。
     余談ですが、この提携が行われた後の2014年だか2015年の冬には、QFプレート(発券による)の日本発シンガポール経由オーストラリア往復というチケットで、普通運賃でもないのに日本~シンガポールがJL,シンガポール~オーストラリアがQFかEKが使え、しかも価格面では通常の航空券の相場価格とはあまり変わらないというびっくりする航空券が売られていたぐらいです(そのときは結局はSQ利用にしましたが・・・)。EKとQFの提携があり、JALはどちらにも提携があるから設定できたのではと後で感心したのを覚えています。

     オセアニアのエアラインでロンドン線というのは生命線ではありますが、かつてはNZはロサンゼルス経由ロンドン線と東南アジア経由(たしかシンガポールだったような)ロンドン線の2種類運航しておりましたが、2010年台に(正確にいつだかは忘れてしまいましたが)東南アジア経由便での自社運航は廃止し、自社の東南アジアのディスティネーションでスタアラ提携他社便にNZ便名でのコードシェアでの運航に変更し、自社ではロンドン~ロサンゼルス~オークランドのルートのみを運航するという形態に変わったようで、QFとは考え方が違っております。

     あまりにも長々と書きすぎ、UAEとカタールの関係、中東3大メガキャリアの勢いを示す事例が漏れてしまっている上(例えばDLやUAのドバイ乗り入れが採算性の理由で廃止された後でビック3が打った広告に対しEKがビック3のサービスはという広告をビック3をしのぐ規模で出した話、EKのイタリア経由ニューヨーク線の話、KLがアムステルダム~カタール線から近々撤退、EKがエアバスA350導入を取りやめ(ただし、契約上はA350と同じRRエンジンのA380への変更扱い)B777Xに乗り換え・・・など事例は枚挙に暇がないほど)バリューアライアンスのことまで書ききれませんでした。これでwesttower様のご関心があるものの1つであるエミレーツのスカイワーズの件について少しは参考になりましたでしょうか?

     毎度のごとく長々と恐縮ですが。HB-JMB
     

  • 2016/12/14 12:55:36

     westtower様

     QFに関して新しいニュースが入りましたので、エミレーツとの提携においてどのような意味を持つかを補足します。

     来年3月よりロンドン~パース間でB787-9による直行便開設という件です。

    http://flyteam.jp/news/article/72885

     シドニーやメルボルンまでロンドンからノンストップ運航できるのならともかく、現時点ではどの機種を使ってもロンドンからではパース程度が限界かと思われ、それによって提携の意味が薄れるということはないかと思われます。
     結局はシドニーやメルボルンからではロンドンまではどのみち1回乗り換えは必要ですし、パースからでもロンドン以外の欧州のディスティネーションに行くには結局はエミレーツとの提携がなくてはQF便名としてQFで航空券を売ることはできないわけで・・・。
      シドニーやメルボルンからでも、ロンドンに行くにはQF運航便だけで行くことはできるものの、それ以外の欧州のディスティネーションにワンストップでかつQFが販売できるQF便名で行くにはこれまたドバイ乗継(特にオーストラリアからみてドバイ以遠区間においては)に頼るほかないわけで・・・。もちろん、オーストラリアから見て以遠区間でワンワールド加盟他社を使うという選択肢はあえて考慮の外にしていますが、それらを使っても2回あるいはそれ以上の乗継になってしまう欧州のディスティネーションは少なくなく、エミレーツとの提携がないとワンストップで行けないQFでの欧州コードシェアディスティネーションは少なくないのが実情です(例えば、ハンブルク、プラハ、ベネチアあたりはその好例)

     余談ばかりで恐縮ですが・・・。HB-JMB

  • 2016/12/16 18:05:57

    westtower様

     たびたびすみません、HB-JMBでございます。バリューアライアンスの話を書こうと思っていたのですが、なかなかできなくてすみません。

     まずLCCの業態について再確認をすると、他便との乗継などを保証しないなどを通じ(本当は指摘すべきはいっぱいあるのですが、この後の説明上ここだけを挙げます)、運航コストを下げ、それを通じて安い運賃を提供することが大きな目的であるかと思われます。ただし、その代償として(提携あるいは自社便同士の乗継保証サービスなど何もない場合は)、自社就航地点でかつ自社運航便のみの組み合わせ(シティーペア)でしか航空券を販売できないという制約が自動的についてくることになるかと思われます。

     エアアジアやスクートが有料ながら自社の本拠地での自社便同士の乗継保証や預け荷物のトランスファーサービスを新たに導入した背景としては、自社の本拠地発着の需要以外に、自社の本拠地を経由してある都市からある別の都市まで行く旅客の需要を取り込む必要があると判断したためではないかと思われます(エアアジアならクアラルンプール経由で、スクートならシンガポール経由で第3国同士を移動する旅客をターゲットにした)。おそらくは自社直行便の就航している2都市を単純に結ぶだけでは、需要が頭打ちになっている可能性が考えられ、新たな需要を取り込む必要に迫られている可能性が考えられます。

     なにも、こうした動きは今に始まったことではなく、それこそ1970年代前半のアメリカのデレギュレーションのころからある、いわゆる「ハブアンドスポーク」と「ポイントトゥポイント」の路線ネットワークではどちらが優位かという論争は今でも明確な答えがでないまま今でも続いているものと考えられます。

     その昔アメリカでは、デレギュレーションで運航する航空会社が増えたのですが、買収に次ぐ買収でいわゆるアメリカのメガキャリアが誕生していく過程で重要な役割を果たしたといわれるものの1つにCRSであります。限られた資源の中でいかにCRS上のシティーペアを増やすかが鍵になり、そのためにいわゆる「ハブアンドスポーク」ネットワークが誕生していきます。

     しかしこれでは、ハブでの乗り換えが強制されることから、サウスウエスト航空が低コストでの運航、以前より格段に航続距離が伸びた最新の機体(B737New Generationなど)をいかし、今までは直行便を就航できない地点に直行で飛ばすことによる「ポイントトゥポイント」のネットワークで大手に対抗しようとしたという流れがあります。
     
     サウスウエストなどのようなキャリアに対抗するために大手が取った戦略がいわゆる「(メガ)アライアンス」であり、それは1990年台後半~2000年台の趨勢になったわけであります。

     アメリカでは「アライアンス」に対抗するため、やはり「ポイントトゥポイント」のジェットブルーなどが登場したわけです。しかしながら、自社で販売できる路線を増やすためにヴァージンアメリカを買収したのだか、統合を目指す流れになっております。

     もちろん、そうした流れはアメリカだけにとどまらず、アジアにももたらされることになります。長くなりすぎましたので、アジアにおける「(メガ)アライアンス」以降の流れは別に書くことにします。

     HB-JMB

  • 2016/12/16 18:33:15

    westtower様

     HB-JMBでございます。

     バリューアライアンスについて考えるには、「(メガ)アライアンス」以降のことに絞ればよさそうなので、アジアの状況について触れておきます。

     2000年台前半までに、東南アジアではSQ,TGなどがスターアライアンスに所属し優位にたっていくなか、それに対抗する形でCXなどがワンワールド、ちょっと遅れながらもVNなどが(成田からの以遠権路線も含めるとNWあたりといってもよいですが)スカイチームという形でアライアンスが形成されていきます。当然これらのエアラインにおいて自社で販売できるシティペア数は格段に増加したとされます。

     「ポイントトゥポイント」での運航によりこれらのメガアライアンスでは吸収しきれない航空旅客需要を取り込むために、低コスト運航により実現できる低運賃を武器に・・・という航空会社がエアアジアやジェットスターなどであります。ただし、先に書き忘れましたが、規模を拡大するにつれ、どうしても純粋な「ポイントトゥポイント」という形のネットワークの拡大は容易ではなく(国際線運航ではオープンスカイ化しつつあるとはいってもいわゆる「以遠権運航の問題」がついてまわるため)、本拠地からの「ハブアンドスポーク」に近い形でネットワークを拡大することとなります。これらの制約により規模拡大は停滞するようになったと思われるのが2010年台前半かと思われます。

     そのなか、規模拡大による機会利益向上のため、自社で販売できる都市(シティペア)を増やすための戦略としては2つ可能性が考えられます
     1.自社の運航の本拠での乗継を保証することで、販売できるシティーペアを増やすこと
     2.他社との提携で、自社の運航規模を増やすことなく提携により自社で販売できるシティペアを増やすと共に、自社運航区間について提携した他社からの乗継旅客も取り込むことでイールド向上を目指す。
     1.の方法を選択したキャリアはエアアジアやスクートなどがあります。
     2.の方法を選択したキャリアの集まりが「バリューアライアンス」であります。アジアではありませんが、エティハド・パートナーズ参加航空会社もここに含まれることになります。

     これは、中東3大メガキャリアの路線拡大戦略の違いに類似する点があります。
     エティハドは上記2の方法で、カタールはワンワールドをてこに、エミレーツは自社でできるだけワイドボディー機で就航地点を増やし、ドバイハブの魅力を武器に有力キャリアを一本釣りして提携するという形でまとめることができるのではと思われます(余談ですが、TKあたりは、EKのようにワイドボディ機一辺倒ではなく、ナローボディー機も併用しつつ自社就航地点を増やしつつスタアラも利用しという戦略かと思われます)。

     長々と書いてしまい大変恐縮ですが、westower様の知りたかった「エミレーツスカイワーズ」、「エティハドパートナーズ」と「バリューアライアンス」の話の回答になりましたでしょうか?これらの話はバラバラではなく、航空会社の戦略について説明する際は相互に関連があるのではと思われます。

     ご参考までに。HB-JMB

  • 2016/12/20 00:39:00

    HB-JMBさん

    エミレーツとカンタスのアライアンスの枠を超えた包括業務提携にはQFの苦境が背景にあることは言われていましたが、中東のメガキャリアの陣取り合戦の様相もあったとは新説ですね。

    ワンワールドの盟主として、又旧宗主国フラッグキャリアの意地とプライドをかけてQFに救いの手を差しのべたかったがオイルマネーに競り負けた英国航空の弱体化と忸怩たる思いを図らずも炙り出してしまったのも、本提携のサイドストーリーと言えるでしょう。

    因みに相思相愛となったQFとEKが背負うエースナンバーの1便は、共にロンドン・ヒースロー行きなのも運命を感じさせますね。

    返信が遅れがちで申し訳なく思っております。
    HB-JMBさんのコメント、ご教示にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。

  • 2016/12/24 11:24:14

    HB-JMBさん

    航空アライアンスの第4極「バリューアライアンス」についてのご解説、有難うございます。

    ベトナムに拠点を移しLCC搭乗の機会が飛躍的に増えました。まだまだ試行錯誤しながら経験を積んでいるところです。LCCを使い始めて不便に思うことは、LCC➢LCCで繋ぐときに、予約システムが完全に独立しているため個別にに手配しなければならないことです。エアアジア・フランチャイズ間でもシステムが統合されていないところもあったりしましたので、ワンストップで完結できれば便利なのに、常々と感じていました。

    そこにバリューアライアンスが登場、IATA NDCに準拠した予約システムを採用することで、加盟航空会社間の乗り継ぎ予約を、付帯サービスの購入、座席指定などオプションを含めてワンストップで手配が可能になったことは、わが意を得たり、との思いでした。やはり小生と同様のニーズは相当数あったということなのでしょう。

    エアアジアGやジェットスターGが標榜するポイントtoポイントは確かに便利ですが、航空行政上の、又就航先に於ける新たな体制作り等の制約から、路線網拡大には限界もあります。一方でハブアンドスポークは乗り継ぎの煩わしさが伴うものの、各国を代表するLCCと相互乗り入れすることにより、より効率的に低コストで路線網のネットワークを広げることが出来るメリットは小さくないと見ています。LCC各社の戦略と駆け引きが今後どのような形で表れてくるのか、注目しています。

    いつか一時帰国の際には、バリューアライアンスのバニラ➢スクートで繋いでみようかと目論んでおります。

    westtower

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