JAL調査、アルコール基準値超の検出は不正も可能な検査体制

JAL調査、アルコール基準値超の検出は不正も可能な検査体制

日本航空(JAL)は2018年11月16日(金)、ロンドン・ヒースロー空港で10月28日(日)に乗務予定の副操縦士から基準値を超えるアルコール値を検出した件について、その調査経過を公表しました。同社は国土交通省航空局に、再発防止策を報告しており、この調査で問題となった点も反映されています。

当該の副操縦士は社内のアルコール検査では感知されていません。これは社内検証で不正も可能との結果を得ており、当日は適切ではない方法、あるいは意図的に不正な方法で検査が行われたとの認識を示しています。アルコール検査の測定時、2名の機長は相互確認を怠っていたことも判明しています。

当日乗務する他の機長2名が副操縦士のアルコール臭に気がつかなかった点は、4度の聞き取り調査を経ても気が付かなったと発言しており、副操縦士が距離を置こうとしていた様子であったことも影響し、気が付かなかった可能性があるとみています。当該副操縦士に接触をした客室乗務員、保安担当者の計13名への聞き取り調査では、バスの運転手以外からはアルコール臭に気づいたとの申し出はありませんでした。

なお、制限値を超えるアルコール検出に至る多量の飲酒の要因として、調査で本人が個人的な悩みを抱えていたことが過度な飲酒に至る可能性として考えられています。当該乗務員の安全や酒精飲料にかかわる規定順守の意識の低さ、アルコールの影響や分解能力に関する認識の欠如、旧型感知器で不正な測定が可能であるとの認識も関与した可能性をJALは指摘しています。

これを受け、JALは新型アルコール感知器の配備、運航規程にアルコール検査時の呼気中アルコール濃度の制限値設定と厳罰化を明文化したほか、メンタル面や健康状態について社員のフォローアップ体制などを整えます。JALでは今回の一連の事態を受け、乗客や関係者に改めて陳謝すると同時に「再発防止に向けた取り組みを徹底し、信頼回復に努めてまいります」とコメントしています。

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