航空幕僚監部は2018年12月5日(水)、飛行中の第8航空団所属F-2戦闘機の2機が空中接触する事故事案の調査結果を公表しました。これは11月2日(金)、築城基地から西におよそ200キロメートル付近の洋上に設けられている訓練空域で発生したものです。
この事案は、F-2戦闘機が訓練終了後に機体の搭載物などが落下していないか確認する相互点検を行う外観点検中、1番機と2番機の機体の一部が接触しました。被害は1番機の垂直尾翼上部の一部損傷、2番機の左主翼下のミサイルランチャーの一部損傷と外装燃料タンクに擦り傷が発生しています。この事故発生後、2機とも基地へ無事に帰着しています。
事故は訓練終了後の帰投中、2番機の外観点検を終えた1番機が2番機に外観点検を受ける姿勢に入ろうとした際、両機が左旋回し、その旋回の角度が異なっていたことから、急激に接近して接触したものでした。
外観点検は、点検実施機が、編隊長機の位置を飛行する先行機を常に視認しながら飛行、点検します。今回の事故原因は、2番機の外観点検を終えた1番機が、次は自分が外観点検を受ける側である旨を指示、その指示が2番機に伝わらず、両機とも自分が編隊長機の位置という認識にあり、お互いを認識せず左旋回を継続したことによると調査は指摘しています。
これを受け、再発防止策として同種の空中接触事案を防ぐ再発防止教育を行うほか、空幕から全部隊に「空地における各種事故等の防止」を通達しています。通達内容は、(1)厳正な指揮とその安全管理の徹底、(2)高い安全意識の堅持、(3)基本の遵守と相互の連携の3点です。また、今回の互いを認識せずに旋回を継続したことを受け、編隊長機位置交代と外観点検実施要領を明文化し、部隊特性に応じた事故防止対策を講じています。
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