航空局、IHIに業務改善命令 民間機エンジン整備の不適切作業で

航空局、IHIに業務改善命令 民間機エンジン整備の不適切作業で

国土交通省航空局は2019年4月9日(火)、IHIに業務改善命令を出し、再発防止策などについて報告するよう指示しました。

航空局はIHIが航空機エンジンの修理事業で、不適切な作業が実施されていたことを受け、1月から2月に立入検査を実施しました。立入検査は、部品の検査を適切な社内資格を有さない者が実施していた事案や、作業記録書の検査実施日の改ざんしていた事案、計測機器の定期検査記録書の検査実施日が適切でない事案が確認されています。

要因としてIHIは、事業拡大や業務の増加に対応した検査員の育成と増員が行われないまま納期を優先し、現場での安全意識やコンプライアンス意識が働かなかったと、航空局に報告しています。

航空局はIHIに対し、出荷品の自主回収や不適切事案の要因・背景の分析を実施し、再発防止策を講じた上で報告することを指示する業務改善命令を実施しました。また、航空局では今後、認定事業場による不適切事案を防止するため、随時検査を原則抜き打ちで実施する方針です。

IHIは2009年1月から2019年1月の過去10年、整備・修理した国交省管轄で運航中のすべてのエンジン45基と単品で修理した部品605点、作業総数およそ19万件が対象で、このうちエンジン34基、部品125点、不適切な作業件数は1,251件です。不適切な検査押印が974件、手続きなしの工程順序の変更や検査実施日と記録の不一致が277件でした。

再発防止策として、IHIは(1)安全意識の再徹底およびコンプライアンス教育、(2)安全管理体制の抜本的見直し、(3)業務実施体制の見直しに取り組み、特に瑞穂工場では、検査員見習に対するOJTルールを整備実作業ラインとの分離して厳格化するなど体制を見直しています。

IHIは再発防止策の確実な実行と、自主的に停止している民間航空機エンジン整備事業の早期再開を目指します。

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