F/A-18とKC-130墜落、パイロットの練度不足に不十分な監督

F/A-18とKC-130墜落、パイロットの練度不足に不十分な監督

ニュース画像 1枚目:F/A-18Dホーネット 夜間訓練 イメージ
© U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Zachary M. Ford
F/A-18Dホーネット 夜間訓練 イメージ

防衛省は2019年10月16日(水)、アメリカ海兵隊岩国基地所属のF/A-18D戦闘機とKC-130空中給油機の接触墜落事故について、調査結果を公表しました。この事故は2018年12月6日(木)、高知県室戸岬の南東およそ99キロメートル付近の海上に墜落し、F/A-18Dの1名、KC-130の5名、乗員計6名が死亡しています。

事故は、夜間空中給油訓練中に発生したもので、KC-130Jとの空中給油を終えたF/A-18Dのパイロットが状況を認識できなくなり、KC-130の上方を左から右へ横切り、再び戻ろうとした際、KC-130Jの尾部にF/A-18Dが衝突しました。墜落した2機の飛行データを回収し、調査の結果、いずれの機体も適切に整備され、機体の不具合は確認されていません。

事故の原因には、4つの重大な要因が関係していることをあげ、(1)F/A-18Dのパイロットの夜間空中給油の練度不足、(2)部隊上層部の訓練や運用に対する不十分な監督、(3)F/A-18Dのパイロットの平均を下回る飛行成績、(4)職務上ふさわしくない部隊司令の姿勢をあげています。このほか、夜間空中給油訓練に適さない暗視ゴーグルの使用、過去に当該部隊で発生した類似の空中接触事故に関する事故調査の未実施も遠因に指摘しています。

この事故調査を通じ、リスクの継続的な評価と、安全でない状態の特定と内部統制の徹底を再確認し、航空団全体を網羅する空中給油の標準化と専門的訓練を実施すること、あらゆる海兵航空即応プログラムと訓練・即応マニュアルにおける連鎖に問題がないか見直しを実施するよう事故調査担当官より勧告されています。

部隊内では、訓練や運用の管理体制が不十分であったことから、海兵隊で適切な行政処分と懲戒処分が下されているほか、部隊の複数の幹部が解任され、プログラムやマニュアル見直しなど管理体制の改善が進められています。

報告を受けた岩国市は、再発防止について国に要請しています。 特に、2018年11月のF/A-18墜落事故に続く事故で、艦載機移駐完了後の間もない時期に相次いで発生し、アメリカ軍の安全対策への不安、不信を抱かせたことから、遺憾の意を表明しています。さらに、2018年11月に発生した岩国基地配備のF/A-18墜落事故、2017年11月のC-2墜落事故について、事故原因などの説明を受けておらず、これらの事故原因についても早期の情報提供と公表、対策を講じるようアメリカ側に求めることを併せて要請しています。

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