JAL「JA002D」の重大インシデント、疲労破壊の進展で火炎発生

JAL「JA002D」の重大インシデント、疲労破壊の進展で火炎発生

運輸安全委員会は2012年6月29日、2010年8月15日に発生した日本航空(JAL)運航のMD-90-30型、機体番号(レジ)「JA002D」の重大インシデントについて報告書をまとめました。

これはJAL3538便として、仙台空港から福岡空港へ離陸したものの、離陸上昇中に右エンジンの火災警報装置が作動。緊急事態を宣言し、右エンジンを停止し、消火装置を作動し、仙台空港に引き返したもの。着陸後は煙は発生していなかったため、自走でスポットに向かっています。機長と乗員4名、乗客106名の計111名は全員無事でした。

報告書ではこのインシデントは離陸中、右エンジンの第4ベアリング・スカベンジチューブが破断。それにより、チューブがディフューザーケースから抜け出し、開口部から噴き出たエンジンオイルがエンジン高温部に接触、火炎が発生したと見ています。火炎発生の原因となるチューブ破断は、エンジン運転による繰り返し応力で破壊起点が発生、疲労破壊が進展したことと推定しています。

また、早期発見の可能性についても言及。指定工場でマニュアルに基づき、チューブの目視検査を含む分解整備が製造後3回実施しているものの、チューブはヒートシールドで覆われており、目視検査で疲労破壊の兆候を発見することは困難だったと推定。このため、安全勧告として第4ベアリング・スカベンジチューブの設計変更、エンジン分解整備でチューブの検査方法の改善を検討すべきとしています。

なお、この右エンジンは1995年9月製造、総使用時間は2万6163時間33分、前回の分解整備からの使用時間は4567時間33分でした。

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