2019年の三沢F-2A滑走路誤進入、再発防止に基本動作再徹底

2019年の三沢F-2A滑走路誤進入、再発防止に基本動作再徹底

ニュース画像 1枚目:滑走路10付近でのF-2A、モーボなどの位置関係
© 運輸安全委員会
滑走路10付近でのF-2A、モーボなどの位置関係

運輸安全委員会は2021年1月21日(木)、三沢空港で2019年10月に発生した着陸やり直し事案の報告書を発表しました。これは、ジェイ・エアのエンブラエルERJ-170-100STD型機、機体記号(レジ)「JA216J」が滑走路10に進入中、航空自衛隊のF-2A戦闘機、機番「93-8550」が待機指示を受けていたものの、滑走路内に進入した事案です。基本的な動作確認の不備が重なったことも要因で、空自は再発防止策に各種教育を徹底しました。

三沢空港は、軍民共用飛行場で、飛行場と進入管制区の管制業務を航空自衛隊三沢管制隊(三沢タワー)が担当しています。事案発生時、滑走路10エンド付近で戦闘機に鳥や横風を含む離着陸を支援する業務を行う移動管制所(Mobile control Unit:モーボ)との交信も必要な状況でした。

滑走路手前の誘導路で待機していたF-2Aは、F-15戦闘機の2機編隊の着陸後、すぐに離陸許可を受けられるタイミングで三沢タワーに離陸準備完了を通報しました。三沢タワーからの指示は待機でした。

F-2Aは待機指示を受け、F-15編隊の着陸の交信を邪魔しないよう、自機のモーボへの離陸前確認の通報を控えました。次の三沢タワーからの管制指示を受け、F-2Aパイロットはモーボへ通報しようと考えました。この時、三沢タワーは滑走路10に着陸進入中のF-15編隊に対し、次の着陸機のERJ、さらに出発機のF-2Aがおり、可能なら速やかに滑走路を離脱するよう「After Landing, if able, expedite vacating runway due to next inbound and departure.」と指示。この後半をF-2Aのパイロットは聞き流していました。

待機から3分間、自機に指示が無く、F-2Aの機長は違和感を覚えていました。その間、離陸後の訓練実施要領の変更、飛行訓練計画の修正、離陸前確認のモーボへの通信など同時進行で考えていました。

そこで、三沢タワーから出発遅延通報を受信。しかし、F-2Aのパイロットは、三沢タワーからの出発遅延情報の通報を離陸許可と誤認しました。誤った内容を復唱、間を置かずモーボへ離陸前確認結果を通報しました。このため、管制官からの復唱訂正を受信できませんでした。さらに、目視すれば民間機の最終進入経路を確認できましたが、失念して滑走路へ誤進入しました。

北部航空方面隊第3航空団はこの重大インシデントの発生を受け、基本動作など再発防止策を実施しました。主な項目は、(1)管制指示、許可等の確実な聴取、(2)基本手順・基本動作等の確実な履行、(3)単機運航時における通報要領の見直し、(4)確実な相互補完態勢の確立、(5)管制指示逸脱が生起しやすい状況の再確認、の5点です。また、空自はこの重大インシデント事案の安全情報を全ての飛行部隊に周知し、各部隊が安全教育を実施しています。

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