航空局、経年エンジンの検査前倒し指示 777緊急着陸事案の関連で

航空局、経年エンジンの検査前倒し指示 777緊急着陸事案の関連で

ニュース画像 1枚目:JA8978に搭載、P&W製PW4074エンジンの16番ブレードとその金属疲労
© 運輸安全委員会
JA8978に搭載、P&W製PW4074エンジンの16番ブレードとその金属疲労

国土交通省航空局は2021年1月29日(金)、日本航空(JAL)のボーイング777-200型で左側エンジン・ファンブレードの損傷事案を受け、国内の航空会社に追加検査の実施を指示ました。当該事案はプラット・アンド・ホイットニー(P&W)製エンジンで、そのファンブレードに疲労破壊が確認されています。同種エンジンの確認は終了していますが、他社製エンジンの安全性も検証するため、航空会社に前倒しで検査するよう航空局が求めています。

検査対象は、国内の航空会社が使用し、過去に重大事案の発生が確認されたファンブレードと同種の材料・構造のうち、飛行回数、飛行時間の多い経年ファンブレードを搭載するエンジンです。通常、非破壊検査を最大7年程度毎に実施していますが、これを大幅に前倒して2021年3月末までに実施するよう、航空局が求めました。

対象のエンジンは、ボーイング737NGファミリーに搭載するCFMインターナショナル製のCFM56-7Bエンジン、ボーイング767型に搭載するGE製のCF6-80C2CFMエンジン、エアバスA320ceoファミリーに搭載するCFMインターナショナル製のCFM56-5Bエンジン、エンブラエルE170型に搭載するGE製のCF34-8E5エンジンです。エンジン数は計27基です。

ファンブレードが損傷した事案は、2020年12月4日(金)に那覇発羽田行きJAL904便で発生しました。那覇離陸後に異常のため引き返し、緊急着陸。点検時に左側エンジンの破損が確認され、航空局は重大インシデントと認定し、運輸安全委員会が原因調査にあたっています。

JAL904便は、機体記号(レジ)「JA8978」で運航、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製のPW4074エンジンを搭載していました。損傷した左側エンジンのファンブレードの総使用時間は43,060時間、総飛行回数は33,518回でした。

エンジンは22枚のファンブレードを装着、このうち15番ブレードが中程から、16番ブレードは根元付近から破損していました。16番ブレードでは疲労破壊の損傷も確認され、運輸安全委員会が2020年12月28日(月)、航空局に情報提供しました。

航空局は、重大インシデント発生後に緊急目視点検を12月4日(金)、6,500飛行回数毎の定期的な非破壊検査に加え、500飛行回数毎の詳細目視検査と1,500飛行回数毎の非破壊検査を12月7日(月)にそれぞれ指示しています。さらに運輸安全委員会の情報提供を受け、ファンブレード破断の重大事案の有無、関連する対策、国内航空会社の点検などの実績を確認し、過去の重大事案には対策済、重大事案につながりかねない不具合も認められていません。

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