ANA、北京着陸前の機体動揺事案 乱気流への対応を乗務員に再周知

ANA、北京着陸前の機体動揺事案 乱気流への対応を乗務員に再周知

ニュース画像 1枚目:機体動揺時、負傷者の位置
© 運輸安全委員会
機体動揺時、負傷者の位置

運輸安全委員会は2021年2月18日(木)、2019年8月に全日空(ANA)の機体動揺により乗客2名、客室乗務員2名が負傷した事故について、調査報告書を公表しました。ANAは乱気流(タービュランス)への対応について、乗務員に事案を周知したほか、一部マニュアルを改訂し、より安全な運航を目指した対応策を講じています。

この事案はANAのボーイング787-8型、機体記号(レジ)「JA808A」が2019年8月15日(木)、ANA963便として羽田から北京に向けて飛行していた際に発生しました。この便には、機長と乗務員10名、乗客214名、計225名が搭乗していました。この時、座席仕様はビジネスクラスが42席、エコノミークラスが198席、計240席を搭載していました。

北京に近づき降下を開始した時点で、機上気象レーダーにエコーが表示されていなかったものの、目視で下方に積雲が広がっていました。機長はコクピットに入室していた先任客室乗務員に揺れが予想されるため、座席ベルト着用サインを点灯する旨を伝えました。

降下を一時中止し、5,500メートル付近で水平飛行していたところ、前方に雲頂が出現。機長は回避出来ないと判断し、ベルト着用サインを点灯させました。そのすぐ後に瞬間的に機体が大きく動揺しました。先任客室乗務員はサイン点灯を他の客室乗務員に伝達できず、乗客への注意喚起アナウンスもできない状態でした。揺れに遭遇した時、客室乗務員9名のうち8名が乗客に対応、物品の収納・固定など、運航規程に基づく安全措置のために離席していました。

この事故後、ANAは再発防止の再発防止策として、運航と客室の両部門で対策を講じています。運航部門では、パイロットに運航安全情報などを発行し、事象の概要を周知。乱気流(タービュランス)への対応について再度、運航規程を徹底するよう周知されています。

ANAの運航規程には、タービュランスによる客室内での負傷事故防止を目的として、機長は客室乗務員と十分に意思疎通を図ること、危険と判断した場合は座席ベルト着用サインを点灯することが定められています。客室乗務員も、必要最小限の安全措置を講じ直ちに着席し、機内アナウンスなどで座席ベルト着用を求めると規定されています。

客室部門では、 キャビン・アテンダント・マニュアルに記載されているベルト着用サイン点灯時の対応を周知徹底。さらに、国際線の着陸前30分間は、乗客の離席抑制のため、ラバトリーの早期使用を促す機内放送を実施するようマニュアルを改訂しています。

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