航空自衛隊松島基地は2011年3月11日(金)、東日本大震災による津波の影響で大きな被害を受けました。ここを拠点とする空自のアクロバット飛行部隊のブルーインパルスは当日、九州新幹線全線開通を記念する展示飛行にあわせ、芦屋基地に移動していました。この偶然により、ブルーインパルスは震災後も途切れること無く、復興のシンボルとして被災地にエールを送り続けました。
当時の松島基地は、救難隊のU-125Aの2機、UH−60Jの4機、第21飛行隊のF-2B戦闘機などが被災。救難隊も3日間は動けない状態となり、その様子はこれまでに報道や、ドラマ「空飛ぶ広報室」などでも描かれて来ました。
震災後の訓練は、芦屋基地を拠点に実施し、航空祭での展示飛行が実施されたのは2011年8月7日の「千歳基地航空祭」。震災への災害派遣対応のため航空自衛隊としては2011年最初の航空祭で、「千歳から元気発進!! がんばろう！日本」がテーマに掲げられました。
同年10月2日に開催された築城基地航空祭では、ブルーインパルスの訓練体制などが整い、初めて「フルショー」として優雅なアクロバット飛行が披露されました。2011年はその後、小松(10/30:中止)、入間(11/3)、防衛大学校開校記念祭(11/13)、芦屋(11/23)、岐阜(11/27)、新田原(12/4)、那覇(12/11)と例年通り各地へ展開しました。
芦屋を拠点に築城基地付近の空域で訓練し、全国をめぐる体制は2012年も続き、松島での飛行は、松島基地航空祭の前日に開催される東松島夏祭りにあわせ、松島基地には着陸せず、基地上空とその周辺のフライトに止まりました。ブルーインパルスの松島基地帰還は、2013年3月31日(日)でした。
帰還後もブルーインパルスは簡易格納庫で運用され、ブルーインパルス格納庫の高台化工事完了は2014年3月でした。震災前からある格納庫を利用しつつ、その場所に3.5メートルの盛り土で高台化する工事で、格納庫を数回移動して実現しました。
さらに機能改良は続けられ、2014年5月に新管制塔の運用開始式を挙行。ブルーインパルス格納庫のかさ上げ工事、救難格納庫の新設工事、新管制塔の運用開始で、基地の復旧・復興の大きな節目を迎えます。こうした一連の工事は、津波被害で、十分に復旧・復興、人命救助の役割を果たせなかった反省を踏まえた対応で、震災時と同じ規模の津波でも災害支援に万全を尽くせる機能が整備されたものです。
2015年度には高台駐機場の整備が完了し、2016年3月20日(日)に三沢基地で移動訓練を実施していたF-2Bによる第21飛行隊が帰還しました。この高台駐機場は、東松島市の防潮堤と連接し、松島基地により東松島市の防災を担う機能の強化、さらには航空祭の開催条件として来場者の安全確保にもつながるものでした。
この一連の基地機能拡充の復興事業完了を受け、2016年8月には「松島基地復興感謝イベント」を開催。地元・東松島市の夏の恒例イベント「東松島夏まつり」とあわせ、2日間に渡りブルーインパルスによる地元での飛行が実現。一般開放の航空祭は2017年に実施し、ブルーインパルスの本拠地らしい1日2回の展示飛行が満喫できる状態となっています。
コロナ禍の現在、松島基地ではブルーインパルスによる訓練は続けられています。2020年はオリンピック聖火の受け入れでカラースモーク「オリンピック・シンボル」を披露。2021年夏に延期されたオリンピック開会式での展示飛行も予想され、その訓練にも余念が無いものとみられます。大震災から10年を迎える3月11日(木)は、10時30分からの訓練を予定しています。
そしてTBS系列では3月11日(木)19時から放送される番組「音楽の日」の中で、MISIAさんによる松島基地からのスペシャルライブが放映されます。松島基地の隊員を前に熱唱するMISIAさんがブルーインパルスとも共演します。
