くにかぜ撮影チーム、人事院総裁賞を受賞 運航開始から60年

くにかぜ撮影チーム、人事院総裁賞を受賞 運航開始から60年

ニュース画像 1枚目:3代目の機体「くにかぜIII」 (LOTUSさん撮影)
© FlyTeam LOTUSさん
3代目の機体「くにかぜIII」 (LOTUSさん撮影)

国土交通省傘下の組織、国土地理院「くにかぜ撮影チーム」が2020年度、第33回人事院総裁賞を受賞しました。人事院総裁賞は、その職責を通じて国民の信頼を高めることに寄与した国家公務員職員個人、または職域グループの功績を讃えています。くにかぜ撮影チームは、職域部門で選定されました。

受賞理由は、地図作成を効率的かつ高精度に行ってきたこと、自然災害時の空中写真撮影による被災状況の把握と復旧・復興への貢献です。特に、撮影チームは表舞台に出ることは少ないものの、高度な専門知識に基づき、時には過酷な状況で活動、国民生活の向上に精励し、公務への信頼を高めることに寄与してきたと評価されています。

国土地理院が測量用航空機「くにかぜ」を導入したのは1960年で、当時は海上自衛隊岩国教育航空隊が運用し、海上自衛隊第202教育航空隊の運用に変更されました。1983年には2代目の機体「くにかぜII」が導入され、引き続き海自が運用しました。2009年には3代目の機体「くにかぜIII」に更新され、ビーチクラフト製からセスナ製に変更。機体が大型化したことにあわせ運用は民間委託され、現在は共立航空撮影が運航しています。

国土地理院の業務の1つに、100年以上にわたり国内の地形、交通・建物などの基本的な地理空間情報を国土全域でくまなく整備することがあります。2万5,000分の1地形図に代表される「基本図」と呼ばれる地図は、民間も含め日本で発行される全ての地図の基礎。この作成にあたり空中写真の撮影は不可欠で、「くにかぜ撮影チーム」は歴代の測量用航空機「くにかぜ」を使い、60年間にわたり全国を撮影してきました。

さらに、近年は地震、豪雨災害などで被災した地域の被災状況をいち早く撮影し、関係機関に被災状況を提供する災害対応にも力を発揮しています。自然災害では阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの震災、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風などの水害などでも迅速に対応。火山噴火時には、航空機に搭載した噴煙下の状況を把握できるレーダー機器を用いた緊急観測を実施し、霧島岳(新燃岳)や御嶽山などで火口周辺の地形変化などを捉え、関係機関に提供してきました。

なお、「くにかぜ」は国土地理院が一般向けに運営する「地図と測量の科学館」前の地球ひろばに展示されています。「くにかぜII」はすでに解体されていますが、機内で使用された航空カメラは「地図と測量の科学館」の2階常設展示室で見学できます。

「くにかぜ」3代を航空フォトで詳しく見る

■「くにかぜ」3代の歴史
<くにかぜI>
機体:ビーチクラフト クィーンエア65
機体記号:JA5061 -> 9101
運用期間:1960年〜1983年
運航時間:7,600時間
運航距離:23万km (地球約5周半)
撮影面積:282,000km2
<くにかぜII>
機体:ビーチクラフト キングエアC-90
機体記号:9102
運用期間:1983年〜2010年
運航時間:9,000時間
運航距離:34万km (地球約8周半)
撮影面積:582,570km2
<くにかぜIII> ※数値は2019年度まで
機体:セスナ208B
機体記号:JA315G
運用期間:2010年〜現在
運航時間: 2,410時間
撮影面積: 45,000km2
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