エアバス、A350貨物機開発か ボーイングの大型貨物機に対抗?

エアバス、A350貨物機開発か ボーイングの大型貨物機に対抗?

ニュース画像 1枚目:A350XWB
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A350XWB

受注・納入数でボーイングを上回るエアバスは、市場でのリーダーの座を確固たるものとするためか、エアバスA350-900型機をベースとした貨物機の開発を検討している模様です。ロイターが2021年3月12日(金)に伝えました。

A350-900は2013年6月14日(金)、エアバスの本拠地、トゥールーズで初飛行しました。この機体は旅客機として開発され、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響から、貨物輸送にも使用されています。保有する航空会社では、フィンエアーが貨物室を利用した輸送を2020年4月に開始、現在も成田、関西、中部(セントレア)の日本路線に貨物輸送でこの機体を使用しています。

さらに、客室に搭載されている座席を取り外し、床をカーゴパレットに交換、荷物を床に固定する機器を装着した改修機を、アシアナ航空が2020年9月に投入しました。これは世界で初めて、A350旅客機の客室を貨物輸送用に改修した事例でした。

こうした旅客機の仕様を貨物対応するものではなく、貨物専用機を新たに市場に投入するとロイターは伝えています。この長距離大型貨物機市場では現在、ボーイング777貨物機(F)、または747-8貨物機(F)、747-400貨物機(F)などが主流です。エアバスが製造した貨物機はエアバスA330-200型機をベースとしたA330-200貨物機(F)がありますが、大きな成功を納めた機種とは言えません。

エアバスの貨物機開発ではボーイングに打ち負かされてきた事例があります。中でも大型機で見ると、フェデックスが2005年1月に発注意向を明らかにしたA380貨物機は、2006年11月には777Fに乗り換えが表明されました。この事例は、エアバスがA380の開発に遅れ、失注したことが要因で、今回のように開発が一段落しているA350に当てはめることは考えにくいでしょう。

エアバスが手がけた中型の貨物機として、A330-200Fは中・長距離の市場にも対応でき、ワイドボディ機として多くの積荷を搭載できるとして2007年から開発スタート。市場に投入されていますが、現在までの納入は38機と市場でボーイングと戦う機数には至っていません。ボーイングではこれに対応する機種としてボーイング767-300型機、または767-300ER型機をベースとした貨物機があります。アマゾン・プライム・エア1社だけでも767は40機超と、A330-200Fをはるかに凌駕する機数が世界中で飛行しています。

エアバスはA320ファミリーの単通路機でボーイングの737ファミリーを機数で凌駕、さらに中型、大型の旅客機でもボーイングを凌ぐ勢いです。ボーイングが圧倒的な中・大型貨物機の市場でどのような機種を投入するか、エアバスの貨物機への取り組みは注目されます。

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