国連世界観光機関(UNWTO)は2021年3月31日(水)、2021年1月の国際観光客の到着客数は2020年比で87%減になったと公表しました。1月現在、アジア太平洋地域は96%減で世界的に最高レベルの旅行制限が実施されています。ヨーロッパとアフリカは85%減、中東は84%減、南北アメリカは77%減です。新型コロナウイルスの影響が長期に及ぶ中、2021年の見通しとして引き続き厳しい状況が続くものの、7月または9月からと下半期に国際観光客が回復するシナリオも明らかにしました。
UNWTOは、世界の安全な観光の再開につなげ、さらに1年間の大規模な経済損失を避けるため、各国間の旅行について調整を引き続き求めていく方針です。現在は各国が強制的な検査・検疫、場合によっては国境の完全な閉鎖を実施しており、海外旅行の再開が妨げられている状況です。予防接種の速度と接種状況は予想より遅く、観光再開はさらに遅れるともコメントしています。
2月初め、全世界の目的地の32%が国際観光客を完全に受け入れておらず、2021年も数カ月は世界観光にとって厳しい状況が続きます。この状況を考慮すると、2021年の第1四半期は国際観光客の到着は約85%減が予測されます。パンデミック前のレベルと比べると、国際観光客は約2億6,000万人が減少します。
UNWTOは2021年の見通しとして、7月に観光客が回復していく場合は、2020年比66%増、2019年比55%減と見込んでいます。リバウンドによる各国の措置が厳しくなると想定したマイナスも考慮した場合でも2019年比67%減とみています。こうした国際観光客の回復は、各国が実施する旅行制限の大幅な解除、予防接種プログラムの成功、EUなどが計画しているデジタルグリーン証明書などの導入が不可欠と条件をつけています。
航空会社の国際線の再開は、こうした状況を踏まえると需要の戻りも遅いとみられ、2021年も半減以下で推移するとみられます。