クイーン・エリザベス空母打撃群、構成固まる オランダ海軍も参加

クイーン・エリザベス空母打撃群、構成固まる オランダ海軍も参加

ニュース画像 1枚目:演習中のクイーン・エリザベス空母打撃群
© Royal Navy
演習中のクイーン・エリザベス空母打撃群

2021年度にも日本近海を含む西太平洋に遠征する予定のイギリス海軍のクイーン・エリザベス級空母「クイーン・エリザベス(R08)」とその空母打撃群(CSG)の概要が明らかになっています。 イギリス海軍の艦艇を中心に、アメリカ海軍とオランダ海軍が参加し、航空勢力は戦闘機をイギリス空軍とアメリカ海兵隊、回転翼機はイギリス海軍で構成します。

「クイーン・エリザベス(R08)」は2020年、実戦配備を前に、アメリカや北大西洋条約機構(NATO)と協力した空母打撃群の運用能力を確認し、2つのF-35B飛行隊による訓練を実施するなど、アジアへの前方展開に向けて準備を進めていました。クイーン・エリザベス空母打撃群は2021年1月、初期作戦能力(IOC)の獲得が宣言されています。

旗艦の「クイーン・エリザベス(R08)」に加え、艦艇は8隻。イギリス海軍の45型駆逐艦を含む6隻と、アメリカ海軍からアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ザ・サリヴァンズ(DDG-68)」、オランダ海軍「エバーツェン(HNLMS Evertsen:F805)」で構成します。DDG-68は艦載機はありませんが、F805はNH90を搭載しています。

空母打撃軍で機動展開が可能でR08に搭載されている航空勢力は、イギリス空軍(RAF)第617飛行隊「ダムバスターズ」、アメリカ海兵隊の第211海兵戦闘攻撃中隊(VMFA-211)のF-35BライトニングⅡを搭載。さらに、イギリス海軍のAW159をベースとするワイルドキャットHMA.2を運用する815海軍航空隊(815 NAS)と820海軍航空隊(820 NAS)、AW101をベースとするマーリンHC4/4Aを運用する845海軍航空隊(845 NAS)が搭載されています。このほか、構成する艦艇にシーキングなどの回転翼機が搭載されています。

長年に渡り温めてきたイギリス海軍による空母の西太平洋の派遣。一部報道では、搭載するF-35Bを三菱重工業の名古屋小牧FACOで整備することや、空母打撃軍を構成する艦艇の横須賀、佐世保、または沖縄へ入港する可能性も伝えられています。さらに岩国航空基地に配備されているF-35Bがこの空母打撃軍と共同演習で「クイーン・エリザベス(R08)」へ着艦するか、在日アメリカ軍との共同演習が行われるかなど、この遠征に伴うさまざまな動きが想定されます。

ヨーロッパでの報道では、中国が海洋進出する南シナ海を航路とするか関心が寄せられています。コロナ禍の中、世界の軍事バランスが崩れているところにこの空母打撃軍の進路が注目されます。

■クイーン・エリザベス空母打撃群
<旗艦>クイーン・エリザベス(R08)
・45型駆逐艦 ダイヤモンド(HMS Diamond:D34)
・45型駆逐艦 ディフェンダー(HMS Diamond:D34)
・23型フリゲート ケント(HMS Kent:F78)
・23型フリゲート リッチモンド(HMS Richmond:F239)
・タイド型給油艦 タイドスプリング(RFA Tidespring:A136)
・補給艦 フォート・ヴィクトリア (RFA Fort Victoria:A387)	
・アメリカ海軍 ザ・サリヴァンズ (USS The Sullivans:DDG-68)
・オランダ海軍 エバーツェン (HNLMS Evertsen:F805)
<航空勢力>
617 SQN:ダムバスターズ F-35B
VMFA-211:アメリカ海兵隊 F-35B
815 NAS:ワイルドキャットHMA.2
825 NAS:マーリンHC4/4A
845 NAS:ワイルドキャットHMA.2
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