5月17日は「パック旅行の日」とされています。パッケージ旅行、現代の旅行会社の基礎を作ったとされるトーマス・クックが1861年にロンドン発、パリ行きの「ツアー」に出発した日に由来しています。かつてトーマス・クック社はその社史で、1841年を起源とする説明をしており、現在の「パック旅行の日」の由来に不明なところは多いものの、パッケージ旅行、現在の旅行会社のツアー商品の原型はおよそ180年前から160年前には形作られていました。
トーマス・クックは1872年に世界一周旅行をパッケージ・ツアーで実現した初めての企画者であり、旅行会社でもあります。この時に日本を訪れ、当時、できたばかりの鉄道に乗車して、東京と横浜間を移動しました。このパッケージ・ツアーは、さまざまな交通機関、宿泊、食事、エンターテイメントを組み合わせ、そのセット内容を消費者に問う商品でした。
2度の世界大戦を経て、航空機が交通機関として広く使われ、パック旅行も大きく変化しました。航空機は速く、遠くに手頃な価格で移動できる手段として使われるようになります。1965(昭和40)年の大卒国家公務員は1万9,000円から2万1,000円で、パック旅行は1960年ごろの「香港・マカオ行き7日間」で18万7,000円と月収の8〜9倍。気軽に利用する海外パックツアーがいかに低廉化されたか実感できそうです。
特に、1970年代に登場した「747ジャンボジェット」は、高速大量輸送手段として使われ、パック旅行が大きな変化を遂げます。日本ではちょうど1970年4月、日本航空(JAL)が機体記号(レジ)「JA8101」のボーイング747-100型機を導入。この頃から世界の航空会社も747の導入を進め、日本にも飛来するようになりました。
JALは1971年7月にホノルル線、さらにロサンゼルス線に導入する計画を立て、続々と747を導入しました。それまでのDC-8型機、ボーイング707型機の150席前後の機材と比べ、747はファーストクラス40席、エコノミークラス321席、計361席の仕様で導入を始めました。約2.4倍ですが、エコノミーが多く、市場へのインパクトは大でした。
旅行商品、いわゆるパックツアーは航空機で移動することを前提に各種開発され、国内だけでなく海外も気軽に、かつお手頃な価格で数日間の旅行を楽しむ環境が整えられ、1990年代には卒業旅行でも海外旅行をパック旅行で楽しめるまでになりました。そのパックツアーも現在では「ダイナミック・パッケージ」が主流。旅行会社が企画したお仕着せのものではなく、航空券、ホテルなど、用意されている交通、宿泊などを自由にオンラインで組み合わせ、予約するものへと発展。これにより、自分の好みの航空会社、航空機などを見ながら予約することもできるようになっています。