航大も使用するSR22、空中衝突もパラシュートで軟着陸 死傷者無し

航大も使用するSR22、空中衝突もパラシュートで軟着陸 死傷者無し

ニュース画像 1枚目:シーラスSR22 イメージ
© Cirrus
シーラスSR22 イメージ

アメリカ運輸安全委員会(NTSB)は、2021年5月12日(水)にデンバーのセンテニアル空港近くで発生した空中衝突事故の調査を開始しています。スウェアリンジェン・メトロライナーSA-226TCメトロIIとシーラスSR22による空中衝突で、いずれも滑走路17Lへアプローチしていた際に発生しました。SR22は日本では航空大学校の帯広分校、宮崎本校での訓練機としても知られています。

貨物輸送していたSA-226TCの胴体上部に大穴が空いた状態となり、その事故の衝撃の大きさが窺い知れます。このような事故であったにも関わらず、SR-22は無事に着陸、いずれの機体ともに搭乗していたパイロットたちに大きな負傷はありませんでした。NTSBは14日以内に初期段階の調査報告書を発表し、1年から1年半をかけて調査を進めます。

シーラスSR22は、故障した飛行機ごとパラシュートで軟着陸させるアイディアを実現させ、幾度となく軟着陸を成功させています。今回の事故でも単発で機体の小さなSR22は高度が低かったにも関わらず、「Cirrus Airframe Parachute System(CAPS)」と命名されている安全装置を作動させ、緊急用のパラシュートを展開して軟着陸しました。

このシステムをシーラスとともに開発したBRSアエロスぺースは、CAPSについて空中衝突が悲劇につながることが開発の動機とし、ジェネラル・アビエーションの分野で大きな安全性を確保するシステムと説明しています。また、2015年にBRSはアメリカのメディアに対して、ボーイングやエアバスなどの旅客機にもパラシュートを展開させるための原材料の強度など改善を図ることができれば、搭載可能との考えも示しています。

今回の衝突では、メトロライナーの機体も大きな損傷が発生しています。およそ5キロメートル強、3ノーティカルマイル地点で発生したとは言え、胴体上部が剥げ落ちる状態で飛行を続けられたことは、非常に驚きです。こちらも機体を無事に着陸させた要因について解明が待たれます。

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