短距離離着陸性能を備えたATR42-600S、製造開始

短距離離着陸性能を備えたATR42-600S、製造開始

ニュース画像 1枚目:ATR42-600S、イメージ
© ATR
ATR42-600S、イメージ

ターボロップ機メーカーのATRは2021年5月12日(水)、ATR42-600Sの製造段階に移行したと発表しました。全体設計が完了し、機体性能が確認され、ATRのパートナーとサプライヤーたちは初号機の部品製造の段階に入りました。

新型コロナウイルスによるパンデミック禍にも関わらず、ATRのチームは困難な状況の中でも顔を合わせることなく、サプライヤーに直接会うこともなく、協力しながら設計、製造に向けた作業を進めました。

ATR42-600Sは、標準の飛行条件下において滑走路の長さ最短800メートルで乗客40名を乗せ、離着陸が可能な性能を持つ機種です。短距離離着陸性能を示す「STOL(Short Take-Off and Landing)」の頭文字を取り、機種名に付与されています。

この機種は、低速で機体制御を可能にする大型ラダーを導入し、エンジンは既存のATR42、ATR72と同様のものを採用。STOL運用時の高出力の使用、長い滑走路で効率的な低出力運用を行うことができるよう42、または72 どちらかのエンジンレーティングを選択できる改良を行います。スポイラーは、着陸時の制動効率を高めるよう左右対称に取付けられています。加えて、着陸直後に最大制動力が働くよう自動制動システムも備えています。

ATRはリース会社エリクス・アヴィエーション・キャピタルから10機、パプアニューギニアのPNGエアから3機、ATR-42-600Sを受注しています。また、日本でもこの短距離離着陸性能に着目し、小笠原諸島への定期便の機材として議論の俎上に上がりました。日本では800メートル程度の短距離滑走路も多く、地方路線の拡充で導入の可能性がある機種です。

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