JALロンドン・パリ線60周年、北回りから直行便に 新サービス続々

JALロンドン・パリ線60周年、北回りから直行便に 新サービス続々

ニュース画像 1枚目:6月6日のパリ線で使用された777-300ER「JA739J」 (トリトンブルー88さん撮影)
© FlyTeam トリトンブルー88さん
6月6日のパリ線で使用された777-300ER「JA739J」 (トリトンブルー88さん撮影)

日本航空(JAL)は2021年6月6日(日)、羽田/ロンドン間、羽田/パリ間の就航60周年を記念し、JL045便の羽田発パリ行き、JL043便の羽田発ロンドン行きの運航前に羽田空港第3ターミナルで記念セレモニーを開催しました。今回は、JALによるロンドン、パリ線の60年を振り返ってみます。

今から60年前、1961年6月6日(火)にJALは羽田発着でロンドン線、パリ線にDC-8型機を導入し、自主運航を開始しました。それまでは、エールフランス航空と北回り欧州線として共同運営していましたが、これを切り替えたものです。当時、直行便はなく、羽田からアンカレッジ、コペンハーゲンを経由する「北回り」航路。飛行時間はおよそ16時間と、現在の世界最長路線のシンガポール/ニューヨーク線の18時間超にも匹敵するような時間がかかる旅でした。

ニュース画像 1枚目:JAL、DC-8 イメージ (sin747さん撮影)
© FlyTeam sin747さん
JAL、DC-8 イメージ (sin747さん撮影)

金額も高額で、海外旅行が自由化された1965年1月のパンフレット確認すると、ヨーロッパ旅行16日間が675,000円、当時のサラーリーマンの平均年収は447,600円。ツアーは年収の1.5倍と、海外に行くことは非常に高価でした。

JALは1966年にニューヨーク線、翌1967年にはニューヨーク/パリ線を開設し、アジアの航空会社として初めて西回り世界一周路線を実現。ロンドン、パリを含む航路の選択肢を広げました。さらに1970年代に入るとボーイング747型機、いわゆる「ジャンボジェット」が導入されます。この大型機導入で多くの人を載せるため団体割引料金が設定され、パッケージツアーの値段が安くなり、購入しやすい価格が設定されました。頑張ってお金を貯めると海外旅行ができるようになり、大衆化が一気に進みます。

ニュース画像 2枚目:「ジャルパック」第1陣 ヨーロッパ16日間 675,000円のツアー、1965年1月20日発
© ジャルパック
「ジャルパック」第1陣 ヨーロッパ16日間 675,000円のツアー、1965年1月20日発

1986年4月、JALが世界初のシベリア上空通過ルートを採用し、ヨーロッパ直行便が始まります。発着する成田国際空港から、成田/パリ線、成田/ロンドン線としてそれぞれ直行便を開設。フライト時間が大幅に短縮されました。

直行便化は航空機の性能向上も要因ですが、余暇時間の過ごし方として海外旅行は価格面で身近なものになり、多くの人が海外に出かけるようになったことも目的地に直接行けることを後押ししました。こうした背景から、JALは1994年に関西国際空港の開港に合わせ、関西発着のロンドン線とパリ線を開設。さらに、1998年には名古屋(小牧)/ロンドン線を開設します。

ニュース画像 3枚目:ボーイング 747 イメージ (maverickさん撮影)
© FlyTeam maverickさん
ボーイング 747 イメージ (maverickさん撮影)

ロンドン、パリ線は、その後もサービス面でも常に重視される路線でした。2002年には、成田/ロンドン線のビジネスクラス(当時はエグゼクティブクラスと呼んでいた)「SEASONS」に新シ-ト「JALシェルフラットシ-ト」を導入。2003年には成田/ロンドン線にシェルフラットシ-トを装備するボーイング777-300ER型機を投入。

さらに、2004年には成田/ロンドン線で機内インターネット接続サービス「JAL SkyOnline」が導入されました。機内で炊きたてのご飯を提供開始したのもこの頃です。経営再建後も2013年1月、国際線仕様の777-300ERに居住性・機能性を高めた「SKY SUITE 777(スカイスイート777)」が初めて導入されたのは成田/ロンドン線でした。

ニュース画像 4枚目:6月6日のパリ線で使用された777-300ER「JA739J」 (トリトンブルー88さん撮影)
© FlyTeam トリトンブルー88さん
6月6日のパリ線で使用された777-300ER「JA739J」 (トリトンブルー88さん撮影)

羽田/ロンドン線の再開は、2014年3月30日(日)でした。さらに、2017年10月29日(日)には、羽田を深夜に出発する2便体制となり、羽田/パリ線のデイリー運航とあわせ、1日3便が日本からヨーロッパの2大都市に運航されていました。JALはワンワールドに加盟し、さらにブリティッシュ・エアウェイズと日本/ヨーロッパ間の共同事業も深化し、イベリア航空、フィンエアーを加えた4社のネットワークを利用でき、ヨーロッパの多くの都市へのアクセスは60年前から比べると飛躍的に向上していました。

現在、コロナ禍の中ですが、パリ線はボーイング777-300ER型、ロンドン線はボーイング787-9型でそれぞれビジネスクラス「JAL SKY SUITE」、プレミアムエコノミー「JAL SKY PREMIUM」を装備し、最新のフルサービスが導入されている機材。ヨーロッパではワクチン接種が進み、域内旅行が活発化しつつあります。日本もコロナのPCR検査陽性者数が落ち着き、出入国の条件が緩和されれば、ロンドン、パリは海外旅行先として有力なゲートウェイとなるでしょう。

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