日本エアコミューター(JAC)、オリエンタルエアブリッジ(ORC)、天草エアライン(AMX)の九州を拠点とする地域航空会社(リージョナルエアライン)と、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)が2022年10月から、共同運航を開始する方針です。共同通信が伝えました。
ANAはORCと、JALはJAC・AMXとそれぞれ共同運航を実施しており、ANAとJALの垣根を越えた連携は実施されていませんでした。今回の5社のうち、ANAとJALを除くとドル箱路線と言われる羽田発着も無く、生活路線として長年、住民割引補助や機体購入費の補助、離島路線の着陸料などの減免といった国・自治体などからの支援を受けて運航を継続してきました。
ただし、現在は航空旅客数が激減し、コロナ禍で経営が厳しいとしてAIRDOとソラシドエアが共同持株会社を設立し、地域航空会社同士が連携する取り組みが発表されましたが、九州のリージョナル航空3社はより厳しい環境になっていると想定されます。ANAとJALの両社の垣根を越えた連携は、より多くの旅客を地域に集める手段となるか、注目されます。
リージョナルエアラインの連携に向けた動きは2018年3月、国土交通省航空局が主導した「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」の最終とりまとめを発表。これを受け、2019年10月にJAC、ORC、AMX、JAL、ANAの航空会社5社が九州地域で系列を越えた協業を促進する地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合(EAS LLP)を設立しました。系列の垣根を越え、離島生活路線の航空路線維持を5社で協力して取り組む方針を示していました。
事業組合の期間は設立から4年間で、3年を経過した時点で取組状況を検証し、それ以降の対応を協議することを当初から明らかにしており、2021年10月にその期限を迎えることから、今後の新たな方向性として共同運航の結論に至ったものとみられます。
なお、共同運航する5社のうち、ANA、JAL、ORC、JACの4社は、2018年から長崎県、鹿児島県とも協力し、マイル交換特典「しまとびクーポン」の発行などを通じ、離島路線を需要喚起する新たな施策を共同で取り組んでいました。