なぜ直行便?ポートランド、デンバー その理由は?

なぜ直行便?ポートランド、デンバー その理由は?

ニュース画像 1枚目:ノースウエスト航空、旧塗装のDC-10 (senyoさん撮影)
© FlyTeam senyoさん
ノースウエスト航空、旧塗装のDC-10 (senyoさん撮影)

17年前に成田/ポートランド線、8年前に成田/デンバー線が、6月10日に開設されました。成田/ポートランド線はノースウエスト航空が2004年6月10日(木)に就航、現在はデルタ航空に引き継がれ、さらに羽田発着に移管されています。成田/デンバー線は2013年6月10日(月)、ユナイテッド航空が787ドリームライナーで就航しました。

この2路線は2021年6月現在、新型コロナウイルスの影響で運休しています。ポートランドは人口がおよそ65万人、デンバーは約70万人といずれも大都市ではないものの、両路線ともアメリカと日本の経済交流が密接な姿を表す路線でもあります。この路線が就航している理由を探ってみました。

ポートランド線

ポートランドは、バラの街と呼ばれアメリカ国内でもっとも住みやすい街としても知られるオレゴン州の州都です。南はロサンゼルスやサンフランシスコを擁するカリフォルニア州、北はボーイングの工場があるシアトルを擁するワシントン州と接しています。

ニュース画像 1枚目:ノースウエスト航空、旧塗装のDC-10 (senyoさん撮影)
© FlyTeam senyoさん
ノースウエスト航空、旧塗装のDC-10 (senyoさん撮影)

市内には、日本とアメリカ、姉妹都市の札幌市とポートランド市の友好を記念し、1963年に造営されたポートランド日本庭園があり、多くの市民に親しまれています。日系人が現地コミュニティに貢献を重ねてきたこともあり、長年、日本との交流が深められてきました。

成田/ポートランド線の開設時、ノースウエスト航空はDC-10-30で運航。その後、機材をエアバスA330型に変更しました。この路線の開設前、ポートランドへのアクセスはシアトルまで直行便を利用し、車やバスなど地上で移動していました。

ニュース画像 2枚目:デルタ航空、旧塗装のMD-11(senyoさん撮影)
© FlyTeam senyoさん
デルタ航空、旧塗装のMD-11(senyoさん撮影)

9.11同時多発テロ前までは日本とポートランド間には直行便がありました。さらに、シアトルをハブ空港としていたノースウエスト航空は、ポートランドとシアトルを結ぶ便を運航。多くの人員と機材を割いていたポートランドは準ハブ空港の位置付けで、過去の直行便から利用者の動向も分かっており、開設に至りました。

ニュース画像 3枚目:ポートランド国際空港で撮影された航空フォト (gunmano_kumasanさん撮影)
© FlyTeam gunmano_kumasanさん
ポートランド国際空港で撮影された航空フォト (gunmano_kumasanさん撮影)

この路線の開設後に、ノースウエスト航空とデルタ航空が合併。実は、ノースウエスト航空以前に成田/ポートランド線を運航したことがあるデルタ航空が引き継ぎ、現在に至っています。なお、2019年の数値で成田/ポートランド線はバンクーバー、アムステルダムに続く3位の旅客数を記録。年間10万人超でポートランド国際空港を発着する国際線として、人気ある路線の1つです。

デンバー線

デンバーは、かつてはゴールドラッシュ、1860年から1870年代に大陸横断鉄道ができ、多くの人が集まったアメリカ西部コロラド州の州都です。ユナイテッド航空は、この都市にハブ空港の1つを展開しています。路線開設の記念すべき初便は、ユナイテッド航空がアメリカの航空会社として初めて受領したボーイング787型、機体記号(レジ)「N20904」が使用されました。

ニュース画像 4枚目:ユナイテッド航空、成田/デンバー線に初便に使用された787-8「N20904」(one21loveさん撮影)
© FlyTeam one21loveさん
ユナイテッド航空、成田/デンバー線に初便に使用された787-8「N20904」(one21loveさん撮影)

新機材の787は燃費が良く、中規模の都市でも国際線を開設できる機材として注目されていました。2013年の路線開設から、コロナ禍がはじまる2020年3月まで約7年にわたり、継続して運航。これにより、787が新路線を開設し、経営面で好結果をもたらす経済性に優れる機材というボーイングの当初の見立てを実証することにもつながりました。

ニュース画像 5枚目:デンバー国際空港 イメージ (BOSTONさん撮影)
© FlyTeam BOSTONさん
デンバー国際空港 イメージ (BOSTONさん撮影)

成田/デンバー線の旅客数は2018年時点で、年間10万人超を記録。これはデンバー空港の国際線ベスト10に入ります。デンバーがその旅客数を集められた理由は、電子機器や放送・通信、金融業などで本社を置く企業によるビジネス需要に加え、アメリカ大自然へのゲートウェイでもあり、観光需要も多く獲得できたことがあるでしょう。

デンバーはロッキー山脈に近く、国立公園へのアクセスが良く、グランドキャニオンと同じダイナミックな風景を楽しめるコロラド国定公園にも便利です。こうした大自然を楽しむ観光は、昔から多くの人が興味を持っていました。直行便の開設によって面倒な乗り継ぎがなく、移動時間が短くなり、利用する・訪れる人が多くなったことでしょう。デンバーをハブ空港としていたユナイテッド航空だからこそ、新たな成田/デンバー線の直行便を実現できた理由でもあります。

ニュース画像 6枚目:デルタ航空 イメージ (デルタおA330さん撮影)
© FlyTeam デルタおA330さん
デルタ航空 イメージ (デルタおA330さん撮影)

なお、新型コロナウイルスの影響でデルタ航空、ユナイテッド航空とも日本路線は、アメリカの大都市を結ぶ路線に限って運航しています。デルタ航空はアトランタ、シアトル、デトロイト、ロサンゼルス線を運航、ポートランド、ミネアポリス、ホノルル線は運休中です。ユナイテッド航空はサンフランシスコ、ニューアーク(ニューヨーク)、ロサンゼルス、シカゴ線を運航、ワシントンDC、デンバー、ヒューストン、ホノルル線を運休しています。

羽田/ポートランド線と成田/デンバー線の再開の報は伝えられていません。この2路線が再開する時期にはコロナ禍が収まり、ビジネス・観光ともに再び盛り上がっていることでしょう。コロナ収束後の旅先として、直行便のあるポートランド、デンバーを検討してみてはいかがでしょうか?

ニュース画像 7枚目:ユナイテッド航空 イメージ (anyongさん撮影)
© FlyTeam anyongさん
ユナイテッド航空 イメージ (anyongさん撮影)
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