オーストリア航空、15カ月のプレイター運用終了 通常の旅客機へ

オーストリア航空、15カ月のプレイター運用終了 通常の旅客機へ

ニュース画像 1枚目:「プレイター(Preighter)」としてコロナ禍の航空貨物輸送を支えた777-200「OE-LPA」
© Austrian Airlines
「プレイター(Preighter)」としてコロナ禍の航空貨物輸送を支えた777-200「OE-LPA」

オーストリア航空は2021年6月23日(水)、15カ月間に及んだ「プレイター(Preighter)」運用を終了したと発表しました。「プレイター」は旅客機(Passenger)を貨物機(Freighter)として運航することです。

コロナ禍に伴い、旅客需要が蒸発し、多くの航空会社は運休や大幅な減便で対応しました。旅客便の減少でベリースペースが無くなり、航空貨物輸送の需給が逼迫。その打開策として編み出されたのが、旅客機による貨物専用便の運航でした。特に、旅客用の座席を外した簡易的な改修で、貨物機として運航し、座席を搭載したままの機材より多くの荷物を搭載できたことから「プレイター」と呼ばれました。

オーストリア航空のプレイターは、ボーイング777-200型の機体記号(レジ)「OE-LPA」と「OE-LPC」の2機です。この長距離路線用の旅客機はシートが取り外され、搭載できる貨物量を増やし、各地からオーストリアやヨーロッパ向けの必需品を空輸しました。客席の撤去と再設置は、1機あたり約1,000時間の作業時間を要し、座席撤去で貨物容量はおよそ160立方メートル(m3)から最大220m3と35%以上増加しました。

簡易改修されたプレイターで輸送された貨物には、防護マスク2億個、検査キット3,000万個、医療用手袋1,500万個以上も含まれています。この2機に加え、ボーイング767-300ER型機も加わり、貨物専用便は計159便を数え、輸送量は計4,500トンとなりました。

2機のうち、「OE-LPC」は2020年10月に座席が再び搭載され、旅客機として運航されています。「OE-LPA」はこれから、オーストリア航空の整備部門が客室シートを機内に戻します。7月には、北米路線などの定期旅客便としての運航を再開します。

世界の航空会社はコロナ・パンデミックの期間、逼迫する航空貨物需要に柔軟に対応しました。一方、現在はワクチン接種が世界各地で始まり、長距離旅客便も徐々に需要が戻る兆しがあります。コロナ禍の終焉はなかなか見通せないものの、航空会社は一歩ずつ、正常化への道を歩み始めています。

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