独自路線つき進むアイベックスエアライン、運航開始からを振り返る

独自路線つき進むアイベックスエアライン、運航開始からを振り返る

ニュース画像 1枚目:アイベックスエアラインズ「初代むすび丸ジェット」 (hanatomo735さん撮影)
© FlyTeam hanatomo735さん
アイベックスエアラインズ「初代むすび丸ジェット」 (hanatomo735さん撮影)

21年前(2000年)の8月7日、アイベックスエアラインズが仙台/大阪・関西線で運航を開始しました。運航開始当時の名称は「フェアリンク」で、「地方路線の運航で地方経済に貢献する」を掲げて誕生。2004年10月に社名がアイベックスエアラインズとなり、現在も仙台、大阪・伊丹を中心に、地方都市を結ぶ航空会社として運航しています。

固定翼機を中心、独立系の資本で現存する航空会社では、オリエンタルエアブリッジ(設立時は長崎航空)、新中央航空に続く長さになっています。運航開始年の2000年は、天草エアラインと同じでもあります。今回は、そのアイベックスエアラインズをもっと楽しく乗るために知っておきたいこと、いくつかピックアップしてみました。

■最初の保有機は?

ニュース画像 1枚目:フェアリンクとして初めて受領した機体、「JA01RJ」 (kumagorouさん撮影)
© FlyTeam kumagorouさん
フェアリンクとして初めて受領した機体、「JA01RJ」 (kumagorouさん撮影)

1機目として導入した航空機は、ボンバルディアCRJ-100LR型の機体記号(レジ)「JA01RJ」でした。ニキ・ラウダさんが設立したラウダ航空から導入した機体でした。この機体は、日本で初めてのCRJとして登録され、就航初便の仙台/関西線でも使用されました。

フェアリンク時代の「Fair」塗装から社名変更を経てアイベックスエアラインズ塗装に変更され、2014年11月に退役。アイベックスエアラインズの整備を手がける伊丹から2014年12月2日に離日。ストックホルムのアーランダ国際空港へ12月4日に到着しました。リース機として活躍が期待されていましたが、他の航空会社で運航されることはなく、2019年に解体されています。

■現在の機材は?今後は?

ニュース画像 2枚目:50席のCRJとして最後に退役した「JA03RJ」 (海山さん撮影)
© FlyTeam 海山さん
50席のCRJとして最後に退役した「JA03RJ」 (海山さん撮影)

導入3機目からボンバルディアが製造した新造機を導入。4機目までは座席数50席のCRJ-100、またはCRJ-200でした。5機目から、現在も使用する座席数70席のCRJ-700を導入。2017年10月にCRJ-200の「JA03RJ」が退役したことで、保有機材はCRJ-700に統一されました。

今後は、アイベックスエアラインズの機材更新が注目されそうです。現在、使用している機材で最も古い「JA05RJ」は2009年7月に受領。すでに12年目に入り、今後、4〜5年で選定が迫られそうです。

ニュース画像 3枚目:現在運行中の機材で最も古い「JA05RJ」 (JA805Aさん撮影)
© FlyTeam JA805Aさん
現在運行中の機材で最も古い「JA05RJ」 (JA805Aさん撮影)

後継機は現行のCRJ-700と同程度の座席規模と想定すると、ATRまたはエンブラエルの2社が有力。ATR-72-600はおよそ70席程度で、現在のCRJ-700と同じ座席数で運航できます。エンブラエルE175-E2型も今後、納入が始まる予定ですが、こちらは少し座席数が多い80席規模になります。

選定の要素としては、座席数に加え、整備を考慮するとエンジンも重要。ATRはターボプロップ機でプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PW100ターボプロップエンジン。E175-E2はプラット・アンド・ホイットニー製PW1000Gエンジン。現在のCRJ-700に搭載するゼネラル・エレクトリック製CF34ターボファンエンジンと、メーカー、構成が異なり、選考時に重要な要素になってくると見られます。

■地方を結ぶ会社。でも本社は東京!?

アイベックスエアラインズは、仙台と伊丹を中心に運航する航空会社と書きましたが、実は本社は東京です。その住所は、日本デジタル研究所(JDL)が所在する場所でもあります。JDLは、会計ソフト「IBEX」を提供する企業で、テレビコマーシャルにはイメージキャラクター「アイベックスボーイ」を見たことある方も多いのでは。アイベックスはアルプス山脈に生息するヤギの一種で、「アイベックスボーイ」は父、母、そしてキュートな妹いる設定です。

ニュース画像 4枚目:2010年9月ごろから「アイベックスボーイ」がロゴと並んで掲出されるようになった (TUBEさん撮影)
© FlyTeam TUBEさん
2010年9月ごろから「アイベックスボーイ」がロゴと並んで掲出されるようになった (TUBEさん撮影)

JDLの関連会社は「アイベックス」の名称を採用しており、中でも航空機を使った事業を手がけるアイベックスアビエイションとは兄弟会社。こちらは、パイロット育成など訓練飛行なども手がけており、アイベックスエアラインズへの推薦も実施しています。

こうした母体のある企業を親会社として、本社は東京、乗務員の拠点は仙台、整備拠点は伊丹と機能が分散。海外では拠点が別々、特に乗務員の拠点を複数設けていることは珍しくないものの、日本では本社・乗務員ベース・整備ベースが分散されていることはアイベックスの特徴でもあるでしょう。

■東日本大震災と地域を結ぶ航空会社の想い

ニュース画像 5枚目:東日本大震災の当日、成田空港で撮影された「JA04RJ」 (banshee01さん撮影)
© FlyTeam banshee01さん
東日本大震災の当日、成田空港で撮影された「JA04RJ」 (banshee01さん撮影)

2021年はちょうど東日本大震災から10年。アイベックスエアラインズは震災発生時、機材は運航中で仙台空港に無く、その面では不幸中の幸いでした。ただし、仙台空港に運航拠点があり、直後は全運航便を欠航。2011年3月17日(木)、伊丹/福島線で運航を再開しました。この再開には、伊丹に運航拠点を移し、乗務員の勤務体制を整えたことなど、10年を契機に社員が当時のことを振り返っている様子がFacebookで公開されています。

仙台空港発着は2011年7月1日、仙台/名古屋(セントレア)線を臨時便として運航。さらに同年7月25日から伊丹、名古屋、新千歳、成田、福岡、小松、広島の10往復20便で定期便運航を再開しました。

ニュース画像 6枚目:2代目むすび丸ジェット 「JA14RJ」 (khideさん撮影)
© FlyTeam khideさん
2代目むすび丸ジェット 「JA14RJ」 (khideさん撮影)

定期便の再開は、さまざまな復興への取り組みに大きな後押しになっただけでなく、現在も宮城県観光PRキャラクター「むすび丸」を機体にデザインした「むすび丸ジェット」を運航し、さらなる飛躍を目指しています。機内にとどまらず宮城県産品の販売にも力を入れ、仙台空港を中心に宮城、ひいては東北の復興に賭ける想いが現れた事業に進化しているようです。

アイベックスエアラインズの知っておきたいこと、いかがでしたか。地方を拠点に全国を結ぶ航空会社として活躍するアイベックスエアラインズ、たまには近くの空港ではなく、就航している空港まで足を伸ばして、特別塗装機「むすび丸ジェット」を見学したり、搭乗して伊丹や仙台に行って見るのはいかがでしょうか。

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