NASA低ソニックブーム超音速機 X-59、外観表れる

NASA低ソニックブーム超音速機 X-59、外観表れる

ニュース画像 1枚目:スカンクワークスで製造されているロッキード・マーティンX-59 QueSST
© Lockheed Martin
スカンクワークスで製造されているロッキード・マーティンX-59 QueSST

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2021年8月3日(火)、ロッキード・マーティンが製造するX-59 QueSST(Quiet SuperSonic Technology:低ソニックブーム/静粛超音速機)の製造状況を公表しました。前後の胴体が統合され、飛行機としての外観を表しつつあります。超音速機はソニックブームの発生で、轟音や衝撃波による地上への影響が知られていますが、X-59はこれまでの研究で蓄積された静粛性の技術を反映して設計された実験機です。NASAは2022年に初飛行を予定しています。

NASAのX-59 QueSSTは、ソニックブームを発生させず、超音速飛行を実現。NASAは飛行データを航空規制当局に提供し、陸上の上空を旅客機による超音速飛行を禁止する規則の変更に向けた実験機となります。規則変更が実現すると、航空会社への超音速機の導入、ひいては旅行者の移動時間が現在の半分に短縮される未来に道が開かれます。

ニュース画像 1枚目:GE F414エンジンを装着するインレット部分
© Lockheed Martin / NASA
GE F414エンジンを装着するインレット部分

公開された動画は、ロッキード・マーティンで先進的な開発に携わるカリフォルニア州パームデールのスカンクワークスの施設で製造されている2019年5月から2021年6月までのタイムラプスです。この中でコクピット部分と胴体の主翼、尾翼の統合が進められています。エンジンはF/A-18E/Fスーパーホーネットにも搭載されているGE製F414が採用されています。

ニュース画像 2枚目:コクピット部分の構造
© Lockheed Martin / NASA
コクピット部分の構造

ロッキード・マーティンは2021年後半、X-59をフォートワースの同社施設に輸送。航空機が飛行中に発生する離着陸、繰り返しかかる力の負荷への耐久性確認、燃料システムの地上試験を実施します。

ニュース画像 3枚目:X-59 QueSST イメージ
© Lockheed Martin
X-59 QueSST イメージ

NASAでは、2022年に初期飛行試験を開始、2023年にはアームストロング飛行研究センターが主導した静粛超音速飛行で安全な運用を証明していきます。この試験では、X-59の音を175以上の地上録音システムで測定。2024年には、X-59をアメリカの複数の地点に飛行させ、実際に発する音による人々の反応を確認します。収集したデータは、アメリカ連邦航空局(FAA)と国際民間航空機関(ICAO)に提供され、陸上の上空を超音速飛行を禁止する既存の規制を変更する際の検討材料となります。

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