日本の離島結ぶATR42、最新-600Sは佐渡・小笠原にも!?

日本の離島結ぶATR42、最新-600Sは佐渡・小笠原にも!?

ニュース画像 1枚目:日本で初めて導入された天草エアラインのATR機 (kengo.k@RJFTさん撮影)
© FlyTeam kengo.k@RJFTさん
日本で初めて導入された天草エアラインのATR機 (kengo.k@RJFTさん撮影)

1984年8月16日、日本の航空会社にも導入されているATR42-200型がフランス・トゥールーズで初めて飛行しました。ATRはターボプロップ機メーカーで、フランスのアエロスパシアルとイタリアのアエリタリアの合弁事業として設立。日本では現在、天草エアライン、日本エアコミューター、北海道エアシステムの3社が導入し、地方都市や離島を結ぶ機材として運航されています。今後は、佐渡への就航、さらに小笠原諸島への就航も噂されている機種です。

ATRは現在、エアバスとレオナルドが50%ずつ保有し、現在も2機種の製造が続けられています。初飛行から進化を続け、日本では短距離滑走路に対応する最新仕様の導入も期待されています。そのATRの現状を振り返ります。

■日本での動向

ニュース画像 1枚目:グラスコクピット化されたATRのフライトデッキ
© ATR
グラスコクピット化されたATRのフライトデッキ

日本では、ターボプロップ機はボンバルディアDHCシリーズの導入が進んでおり、ATRが導入されたのは、天草エアラインで2015年8月13日(木)でした。導入した機種は、ATR 42-600。ATRの初飛行から続けられたアップグレードの最新版で、客室はイタリアのアルモニア仕様に仕上げられ、コクピットはパイロットの操縦を補助する最新のアビオニクスが採用され、グラスコクピット化されています。

ニュース画像 2枚目:日本エアコミューター ATR 42
© ATR
日本エアコミューター ATR 42

この導入を皮切りに、日本エアコミューターがATR42-600、より客席数の多いATR72-600の運航を開始。北海道エアシステムもATR42-600での運航を開始しています。

さらに、ATRは短距離滑走路でも運航できる仕様としてATR42-600Sを発表。2021年5月には、ATR42-600Sの初号機製造を開始しました。この派生系は、標準の飛行条件下で乗客40名を乗せ、滑走路長が最短800メートルで離着陸できる性能を持ちます。短距離離着陸性能を示す「STOL(Short Take-Off and Landing)」の頭文字が機種名に付けられ、日本での導入も期待されています。

ニュース画像 3枚目:短距離滑走路でも離発着できるATR42-600S イメージ
© ATR
短距離滑走路でも離発着できるATR42-600S イメージ

最も近いとみられるのが、佐渡発着。佐渡では新潟との定期便の運休後も継続して航路誘致に取り組み、滑走長890メートルの佐渡空港でも離着陸できるATR-42-600Sを活用し、新潟空港を拠点とした格安航空会社(LCC)の就航が期待されています。

小笠原諸島でも父島に滑走路を施設する案ではATR42-600Sの使用が提案されています。こちらは環境への影響もあり、垂直離着陸ができるレオナルドAW609型も有力。小笠原への短時間での移動は長年の悲願で、今後の動向も注目されます。

■開発〜初飛行まで

ニュース画像 4枚目:日本への初導入前にデモフライトで飛来したATR (kumagorouさん撮影)
© FlyTeam kumagorouさん
日本への初導入前にデモフライトで飛来したATR (kumagorouさん撮影)

ATRの始まりは、1981年にフランスとイタリアによる合弁企業の設立でした。当時、航続距離370キロメートルほど、客室は40席から50席のターボプロップ機の開発をめざしていました。特に、ブリティッシュ・アエロスペース(現在のBAEシステムズ)が製造する航空機がライバルに位置付けられました。開発は、すでに初飛行を済ませていたリージョナル機のBAe 146型より燃費の良い機材を目ざしていました。

ニュース画像 5枚目:ATR 製造2号機 (tassさん撮影)
© FlyTeam tassさん
ATR 製造2号機 (tassさん撮影)

「ATR 42」の数字は、42席程度の航空機として開発されたところに由来しています。初飛行したATR 42-200、機体記号(レジ)「F-WEGA」に続き、2機目のテスト機は1984年10月31日に初飛行。さらに顧客へ引渡しされる製造機として初めて1985年4月30日に3機目が初飛行しました。型式証明の取得手続きは順調に進み、フランス、イタリアそれぞれの航空当局から1985年9月に取得。製造4機目の「F-GEGD」が1985年12月、フランスのエア・リットラルに納入されました。

今後、ATRに乗るとき、日本での今後の動向、さらにATRの開発当初を知っていると、さらに楽しい空の旅が楽しめるでしょう!

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