1962年8月30日、戦後初の国産航空機YS-11が初飛行し、60年目を迎えます。日本航空機製造が製造した双発ターボプロップエンジン機は、今も唯一の国産旅客機として多くの人に記憶されています。最近では、航空自衛隊の飛行点検隊が使用し、製造時から同じダートエンジンを搭載するYS-11FCが2021年3月にラストフライトを実施して話題を集めました。
YS-11は182機製造され、民間旅客機としてだけでなく、運輸省、海上保安庁、自衛隊に配備されました。航空自衛隊に13機、海上自衛隊に10機、計23機が配備されたうち、まだ現役機があります。その現役機は、電子戦訓練機YS-11A-402EAまたは電子情報収集機YS-11A-402EBとして電波・信号など電子情報を収集、分析する機体で秘匿性の高い任務に付いています。
航空自衛隊によると、現役機数は非公表との回答。その秘匿性の高い任務からの回答であるものの、FlyTeamメンバーの撮影写真によると2021年3月以降も飛行が確認できている機体は3機です。
2021年3月以降、FlyTeamメンバーが撮影したYS-11は、電子情報収集収集機の機番「12-1161」、電子情報収集訓練機の「12-1162」「12-1163」、計3機です。いずれも貨物機YS-11Cとして製造され、3機とも1971年に空自に納入。その後、1976年から1979年にかけて電子情報収集機、または電子戦訓練機として改修、その後のアップグレードを経て現在に至っています。
この電子情報収集・訓練機として使用されているYS-11ですが、C-2輸送機をベースとしたRC-2への更新が進められています。RC-2電波情報収集機は2020年3月に評価試験が終了、2020年10月に入間基地へ1機が配備されました。後継機が配備されたことから、YS-11電波情報収集・訓練機が空を飛ぶ様子を見る期間も限られてきそうです。