ライアンエア、ボーイングMAX10交渉打ち切り発表 その思惑は?

ライアンエア、ボーイングMAX10交渉打ち切り発表 その思惑は?

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ライアンエア イメージ

ヨーロッパ最大の格安航空会社、ライアンエアは2021年9月6日(月)、ボーイングと737 MAX10型の発注に関連し、価格が合意に至らず、交渉を終了したと発表しました。ライアンエアはボーイング737-8 MAX型の通常180席をベースに197席まで席数を増やした「737-8200」を210機契約済みですが、これに続く機体購入を交渉していました。機体購入に関する交渉打ち切りを発表することは珍しく、ライアンエアが求める機材はボーイング、エアバスの2社しかなく、打ち切り後にも再交渉を経て合意に至る可能性もあります。このため、ライアンエアはボーイングとの価格交渉を優位に進めたいとの思惑がありそうです。

プレスリリースでマイケル・オライリーCEOは「この数週間、デルタ航空やJet2などボーイングの顧客が、エアバスを新規発注するには理由がある」とコメント。ボーイングは、価格見通しが楽観的で、高いと批判。さらにライアンエアは、過去に費用対効果に見合わない高額な航空機代を支払うことは無く、規律を保ってきたとも述べています。

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ライアンエア・グループが導入を進める737 MAX

オライリーCEOが言及したデルタ航空とJet2は、2021年に入り、エアバスと大型契約を締結しています。デルタ航空は2021年4月にエアバスA321neo型を25機、さらに8月に30機と新たに55機を契約しています。ただし、デルタ航空の契約は2017年にA321neoを100機発注した契約内容が活かされたと推察され、当時の価格が合意のベースにあるとみられます。

Jet2は8月、A321neoを確定36機、オプション権含め最大60機の契約をエアバスと締結しています。Jet2はほぼ全ての機材がボーイング737型でしたが、エアバスに切り替える発注でした。この契約は、ボーイング顧客を離反させる狙いから、エアバスが比較的安い価格を提示した可能性があります。この契約は、オライリーCEOが言うボーイングの価格が高いと示唆する背景です。

ライアンエアはこれまでの契約済みの機体で現在の460機超から、今後5年間で600機以上に保有機が増加する見通しです。このため、コロナ禍から脱却し、ヨーロッパ全域で旅行が再開する機会に合わせ、成長できるとみています。このため、成長余力が残るうちに交渉打ち切りをあえて公表し、ボーイングの提示する価格の高さを広く訴える作戦に出ていると言えそうです。

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