ロシアのユナイテッド・エアクラフト(UAC)傘下で、ウリヤノフスクに工場を持つアヴィアスタル-SPは、同施設に開設した新たな最終組み立てラインで製造したIL-76MD-90A輸送機の1機目をロシア航空宇宙軍に納入したと発表しました。アヴィアスタル-SPは今後、年間12機を製造する予定で、初号機の納入を終え、大規模な製造プログラムを本格的に始動します。
新たに開設された最終組み立てラインは、機体の部品接合の労働力を大幅に削減。この生産ラインは、胴体、主翼、尾翼を接合する10の設備と、エンジンなどの電気・電力、航空機システムを組み立てるステーションで構成しています。各ユニットをレーザーで位置決めするシステムが導入され、機体を組み上げる際の接合を高い精度で実現しています。
IL-76MD-90Aは、IL-76の第2世代機と位置付けられ、国際民間航空機関(ICAO)の騒音基準を満たすPS-90A-76エンジンを搭載し、ペイロードの増加による主脚部分の強化をはじめ、機体に複合材料を活用するなど大幅に変更が加えられています。グラスコクピット化され、デジタル航法システム、自動制御システム、通信システムなども最新の技術が取り入れられたアビオニクスに更新。アヴィアスタル-SPによる新型機の製造だけでなく、旧式の近代化も行われています。