ピラタスは2021年9月14日(火)、スペイン国防省に最初のPC-21を納入したと発表しました。地中海に面したサン・ハビエルのスペイン空軍基地に配備され、空軍パイロット養成コースの訓練機として使用されます。スペイン空軍は2022年9月から、PC-21を使用したパイロット養成コースを開設します。スペインは、2022年6月までにPC-21を計24機、引き渡しされる予定です。
ピラタスは、各国の軍用パイロット養成目的として訓練用のターボプロップ機を提案しています。このうちPC-21は、機体のパフォーマンス、コクピット機器、メンテナンスの柔軟性、使いやすさを実現。コクピット機器は、最新の戦闘機に近いディスプレイの配置が採用され、ジェット戦闘機への移行もスムーズとされています。
防衛費の削減が各国で課題になる傾向があり、その面でもPC-21の予算節減は、同等のジェット機と比べ使用する燃料を抑え、シミュレーターなど地上訓練ツールやバーチャルリアリティ・ツールなどが充実していることも、育成費を抑えながら効果的な訓練を提供できる統合システムとなっています。
PC-21を採用したヨーロッパの国は、スイス、フランスに続き、スペインは3カ国目になります。PC-21は訓練機として主に使用されていますが、オーストラリア空軍のアクロバットチーム「ルーレッツ」があり、スイス空軍もその性能を最大限に発揮したアクロバット飛行をエアショーでは披露しています。
日本でも防衛装備庁はT-7、T-4練習機の後継機と地上教育システムの検討を開始しています。情報提供企業の募集という形で、練習機と地上教育システムに関する知見、製造実績を有する企業との意見交換に止まる形ですが、他国だけでなく日本での次期訓練機も更新に向けてどのような性能や機能が求められ、機種が絞られていく過程が注目されます。