クルードラゴン初の高度500km超、クルーの1人は超有名実業家・パイロット?!

クルードラゴン初の高度500km超、クルーの1人は超有名実業家・パイロット?!

ニュース画像 1枚目:ケネディ宇宙センターの打ち上げ台を飛行するL-39アルバトロスとアルフジェット、ここからファルコン9ロケットで宇宙へ向かった
© Inspiration4 / John Kraus
ケネディ宇宙センターの打ち上げ台を飛行するL-39アルバトロスとアルフジェット、ここからファルコン9ロケットで宇宙へ向かった

スペースXは2021年9月15日(水)、宇宙船「クルードラゴン」をファルコン9ロケットで打ち上げ、現在は上空約575キロメートル(km)の軌道を周回しています。クルードラゴンは自動操縦で飛行しており、現地9月18日(土)にフロリダ沖へ着水予定です。そのクルードラゴンには4名の民間人が搭乗。打ち上げなど費用の大半を拠出した実業家のジャレッド・アイザックマンさんが、今回のミッション「インスピレーション4」による周回飛行を実現させています。その実業家ジャレッドさんは、さまざまなビジネスジェットの操縦、戦闘機パイロットとして実績を積み、ビジネスとパイロットを両立、数々のフライトを経験し、熱い想いを実現させています。

ジャレッドさんは14歳の時に起業。そのビジネスでの成功を得ながら、「息抜き」として21歳過ぎにパイロット免許を取得。そこから、わずか5年ほどでセスナ製のサイテーションCJ2を操縦し、26歳の時に世界一周を61時間51分という世界記録を打ち立てました。

ニュース画像 1枚目:世界一周の時間記録を樹立した時に操ったサイテーション CJ2の同型機  (non-nonさん 2017年撮影)
© FlyTeam non-nonさん
世界一周の時間記録を樹立した時に操ったサイテーション CJ2の同型機 (non-nonさん 2017年撮影)

この挑戦に飽き足らず、戦闘機も操るようになり、27歳の2010年にアクロバットチーム「ヘビィ・メタル・ジェット・チーム」を設立。翌年に「ブラック・ダイヤモンド・ジェット・チーム」と現在の名称に変更。アエロL-39アルバトロス5機とミグMiG-17の1機、計6機で編隊飛行する際は最右翼を担当し、全米各地を沸かせています。

ニュース画像 2枚目:ブラック・ダイヤモンド・ジェット・チームのパイロットとしても活躍するジャレッドさん
© Black Diamond Jet Team
ブラック・ダイヤモンド・ジェット・チームのパイロットとしても活躍するジャレッドさん

さらにジャレッドさんは、アメリカ連邦航空局(FAA)認定の飛行教官も保有しています。ビジネス機、戦闘機の飛行だけでなく、定期運送用操縦士として民間旅客機も操縦かつ指導する立場でもあります。

こうしたパイロットの様々な経験、さらに実業家としてのビジネス感覚も活かし、予算削減が課題のアメリカ空軍・海軍向けにもビジネスを展開。それがジャレットさん28歳の時に創業した、仮想敵業務を請け負うドラケン・インターナショナルです。ドラケン・インターナショナルは最近、オランダ政府からF-16ファイティングファルコンを購入し、戦闘機乗りでも取り分け優秀なスタッフを集めたアメリカ空軍・海軍の訓練時に必要な仮想敵のフライト事業を拡大しています。

ニュース画像 3枚目:ドラケン・インターナショナルのダグラスA-4Kスカイホーク(奥)とアエルマッキMB-339(手前2機)
© Draken International
ドラケン・インターナショナルのダグラスA-4Kスカイホーク(奥)とアエルマッキMB-339(手前2機)

「息抜き」で始めたとは思えないほど、ジャレットさんは空への熱い想いを実現。今回の宇宙旅行でもクルードラゴンとして初めて高度500km超を達成し、国際宇宙ステーション(ISS)の400kmを遥かに上回る周回軌道の飛行は、現在38歳のジャレッドさんによるフライトへの想いを実現したものと言えるでしょう。

ニュース画像 4枚目:クルードラゴンでミッション「インスピレーション4」の乗組員、ヘイリーさん(一番左)、サイアンさん(左から2番目)、ジャレッドさん(左から3番目)、クリスさん
© Space X / Inspiration4
クルードラゴンでミッション「インスピレーション4」の乗組員、ヘイリーさん(一番左)、サイアンさん(左から2番目)、ジャレッドさん(左から3番目)、クリスさん

なお、今回のクルードラゴン乗組員のサイアン・プロクターさんは初の黒人女性宇宙飛行士、骨肉腫を患った人として初めて宇宙へ到達したヘイリー・アルセノーさんなど話題が豊富です。ジャレットさんの数々の戦闘機やビジネスジェットなど、多くのフライトを経験した中でも、今回の感想はとりわけ楽しみなところです。

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