ロッキード・マーティン、米空軍給油機「KC-Y」にA330ベース「LMXT」提案

ロッキード・マーティン、米空軍給油機「KC-Y」にA330ベース「LMXT」提案

ニュース画像 1枚目:A330 MRTTをベースとした「LMXT」
© Lockheed Martin
A330 MRTTをベースとした「LMXT」

ロッキード・マーティンは2021年9月17日(金)、アメリカ空軍の空中給油機プログラム「KC-Y」にA330 MRTT をベースとした空中空輸機「LMXT」を提案すると発表しました。アメリカ空軍はKC-135ストラトタンカー、KC-10エクステンダーなどの空中給油機を更新するプログラムを展開。その第1弾「KC-X」ではボーイング767型をベースにしたKC-46Aが採用されています。「KC-Y」は第2弾で、第1・2弾をさらに発展させた「KC-Z」の計画もあります。ロッキード・マーティンは、A330 MRTTが世界各国に導入された実績や能力を踏まえ、KC-Yとして採用された場合は機体の製造からMRTT機能の付加まで全てアメリカで実施する計画として提案します。

「LMXT」は、アメリカ空軍向けの独自仕様に加え、機能搭載に成功しているフライングブーム式の空中給油の全自動空対空燃料補給(A3R)システムの装備を提案。独自仕様では、アメリカ国防総省による空・陸・海・海兵・宇宙軍への統一ネットワークシステム「JADC2」にあわせ、互換性のあるオープンシステムアーキテクチャを採用します。A330 MRTT、オーストラリアやイギリスなどアメリカの同盟国にも導入されているほか、ヨーロッパ統合装備協力機構(OCCAR)への納入を通じた北大西洋条約機構(NATO)での運用など、実績を積んでいます。LMXTの燃料搭載量は271,700ポンド、飛行時間は20時間近くを計画しています。

ニュース画像 1枚目:オーストラリア空軍 A330 MRTT
© AIRBUS
オーストラリア空軍 A330 MRTT

A330 MRTTは、オーストラリア空軍を皮切りに、イギリス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、フランス、シンガポール、韓国など13カ国にすでに選定されています。これまでに25万飛行時間を超える実績があり、空中給油が認可されている機種は、戦闘機ではF-35AライトニングII、F-22ラプター、F-16ファイティングファルコン、F-15イーグル、A-10サンダーボルト、爆撃機のB-1Bランサー、輸送機・哨戒機ではC-17グローブマスターIII、E-3セントリー、E-7ウェッジテイル、P-8Aポセイドンなどがあります。

アメリカ空軍の空中給油プログラムの第1弾「KC-X」では、ノースロップ・グラマンとEADS(当時、現在のエアバス)が共同応募し、KC-45として採用されたものの、ボーイングの強力な巻き返しで白紙撤回と、ボーイング767型をベースにしたKC-46Aが採用されています。「KC-Y」でもボーイングがKC-46を提案すると見られ、再び獲得競争が巻き起こることが予想されます。

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