ANAウイングス、2020年に発生の機体動揺 客室乗務員に状況に応じて着席周知

ANAウイングス、2020年に発生の機体動揺 客室乗務員に状況に応じて着席周知

ニュース画像 1枚目:推定飛行経路と事故発生場所
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推定飛行経路と事故発生場所

運輸安全委員会は2021年10月28日(木)、ANAウイングスが運航中の機体動揺による客室乗務員が負傷した事故です。発生は2020年4月12日(日)で、ANA430便として福岡空港を離陸、大阪国際(伊丹)空港に向けて愛媛県大洲市の上空を高度約8,200メートル(m)で飛行中のことでした。使用していた機材は、ボーイング737-800型の機体記号(レジ)「JA64AN」です。負傷した客室乗務員は、伊丹空港に着陸後、救急車で病院に搬送され、骨盤の一部骨折と診断されています。再発防止策として、ANAウイングスは状況に応じて客室乗務員が着席して機内監視を行うよう周知しています。

この事故は、大気じょう乱を伴う雲の中を飛行して機体動揺が発生し、離席していた客室乗務員が着席する前に2度目の動揺で空中に浮遊し、体勢を崩した状態で床に打ち付けられて負傷したものです。先行機が気流が安定していたと報告、運航計画でも雲の上を飛行する計画でじょう乱は予想されていませんでした。また、機上気象レーダーに雨雲を示すエコーが映っていない中での機体動揺の発生でした。

ニュース画像 1枚目:事故発生時の気象データ、高頻度衛星画像(図7)では雲を解析。エコー強度(図8)では弱いエコー認識
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事故発生時の気象データ、高頻度衛星画像(図7)では雲を解析。エコー強度(図8)では弱いエコー認識

当時、搭乗していた乗客20名は全員着席し、ベルト着用サインは消されている状態でした。全日本空輸(ANA)などANAグループで飛行中に予期できない揺れに遭遇する可能性があるとして、着席時は常にベルトを装着することを促す機内アナウンス、安全ビデオでの周知が乗客に負傷が発生しなかった要因とみています。また、事故発生時の操縦について、夜間飛行で目視の機外監視には雲の発見、形状認識には困難な状況と推測しています。

客室乗務員の負傷を受け、ANAウイングスは再発防止策として、運航乗務員に事象の周知、座席ベルト着用サインの運用を改めて周知。客室乗務員には、タービュランス遭遇時の対応について資料を更新して周知したほか、機内サービスや旅客対応外の場合は状況に応じて着席して機内監視を行うよう周知しています。

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