エンブラエル、炭素排出量の実質ゼロ実現のコンセプト機発表

エンブラエル、炭素排出量の実質ゼロ実現のコンセプト機発表

ニュース画像 1枚目:コンセプト機「Energiaファミリー」
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コンセプト機「Energiaファミリー」

エンブラエルは2021年11月8日(月)、航空業界が2050年までに炭素排出量を実質ゼロにする目標達成に向けたコンセプト機「Energiaファミリー」を発表しました。エンジニアリング専門の大学や研究機関、中小企業の国際コンソーシアムなどと連携し、環境発電、エネルギー貯蔵、熱管理、持続可能な航空機の推進機関などを考慮したレンダリングが公表されました。

「Energiaファミリー」は、機体後方にエンジンを配置し、電気、水素燃料電池、デュアル燃料ガスタービン、ハイブリッド電気など、主に4つの推進技術を組み込んでいます。ハイブリッド電気推進の機種は、2030年ごろに実現可能で最大90%のCO2排出削減でき、座席数は9席です。2035年ごろには、9席搭載でCO2排出ゼロの電気推進の機種、座席数19席で水素電気を活用した機種が実現。2040年ごろに35〜50席で、水素または持続可能な燃料(SAF)を使用した機種が展開される見込みです。

ニュース画像 1枚目:2040年ごろに実現が見込まれる水素・ガスタービンエンジン採用機 「E50-H2GT」
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2040年ごろに実現が見込まれる水素・ガスタービンエンジン採用機 「E50-H2GT」

炭素排出量を実質ゼロを達成するための解決策は1つではなく、新しいテクノロジーを採用しながら、飛行機そのもののコンセプト改良を続ける必要があると言及しています。開発は小型機から大型機に新たな推進技術を展開していく流れが理想的とし、座席数の少ない機種開発が技術を確立していく際に重要とも強調しています。

「Energiaファミリー」の研究開発と同時に、エンブラエルは市場に展開ずみの機種について、2030年までにSAFとの完全互換性の確立を目指しています。また、炭素排出量ゼロに向けた取り組みとして、2020年8月には100%電気を動力源とした単発機のEMB-203イパネマを飛行、2025年までに水素燃料電池によるデモ機開発、2026年に100%電気による垂直離着陸機eVTOLの商用飛行開始を目指した開発が進められています。

ニュース画像 2枚目:100%電気で飛行するEMB-203イパネマ
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100%電気で飛行するEMB-203イパネマ
■Energiaファミリー・コンセプト
・ハイブリッド機 「E9-HE」
 推進力:ハイブリッド電気 (最大90%のCO2排出削減)
 エンジン:リアエンジン
 座席数:9席
 実現可能性:2030年
・電気推進機 「E9-FE」
 推進力:100%電気推進 (CO2排出量ゼロ)
 エンジン:リア反転プロペラ
 座席数:9席
 実現可能性:2035年
・水素燃料機 「E19-H2FC」
 推進力:水素電気 (CO2排出量ゼロ)
 エンジン:リア電気プロペラ
 座席数:19席
 実現可能性:2035年
・水素・ガスタービン 「E50-H2GT」
 推進力:水素またはSAF(JetA) (CO2排出量・最大ゼロ)
 エンジン:リアエンジン
 座席数:35〜50席
 実現可能性:2040年
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