SDGsの先駆け、ANA「ブルー」ではない「グリーン」のエコボン

SDGsの先駆け、ANA「ブルー」ではない「グリーン」のエコボン

ニュース画像 1枚目:2018年3月まで「エコボン」塗装で運航されたQ400 (コバトンさん 2015年6月撮影)
© FlyTeam コバトンさん
2018年3月まで「エコボン」塗装で運航されたQ400 (コバトンさん 2015年6月撮影)

全日本空輸(ANA)の飛行機は、コーポレートカラーの「ブルー」を纏っていますが、全く異なる「グリーン」で運航された特別塗装機があったこと、覚えていますか?2010年11月19日に運航開始し、「エコボン」の愛称で親しまれた計3機の特別塗装機はボンバルディア製のDHC-8-400(Q400)型に施され、2018年3月まで日本各地を飛行しました。このグリーンの特別塗装機は、フライトを通じてANAの環境への取り組みや、視覚的に「エコ」を紹介する機体でした。この特別塗装機を中心に、環境対策を含む持続可能な開発目標(SDGs)へのANAの対応を振り返ってみましょう。

ANAは2004年から就航する全国の空港近くで植林する「私の青空」活動、2006年には空の上で地球環境を考える「エコ・フライト」を展開しました。こうした活動を分かりやすく伝える1つとして、2010年11月から機体全体が「グリーン」の特別塗装機「エコボン」をANAウイングスが運航しました。

ニュース画像 1枚目:珍しい「エコボン」の2機並び (larchさん 2014年11月撮影)
© FlyTeam larchさん
珍しい「エコボン」の2機並び (larchさん 2014年11月撮影)

愛称「エコボン」は、社内公募で「エコ」と「よい旅を!」を意味するフランス語「ボン・ヴォヤージュ」を組み合わせた造語です。飛行機に詳しい方は、「ボン」は航空機メーカーのボンバルディアの頭を組み合わせたと思い浮かべそうですが、フライトと共に身近に「エコ」を感じてもらいたいという、スタッフの願いが込められた名称でした。Q400が選ばれたのは、同じ約70席搭載のジェット機と比べ使用燃料が少なく、必然的に二酸化炭素(CO2)排出量も少ない環境に優しい機種だったことが理由でした。

ニュース画像 2枚目:北から南まで各地に乗り入れた「エコボン」 (Snowman☃️さん 2018年1月撮影)
© FlyTeam Snowman☃️さん
北から南まで各地に乗り入れた「エコボン」 (Snowman☃️さん 2018年1月撮影)

ANAグループが2010年10月から2011年10月に受領したQ400の3機(機体記号:JA856A、JA857A、JA858A)は、定期便の運航開始時からグリーン塗装が施され、その後の定期整備にあわせ順次、ANAの「ブルー」に変更されました。2018年3月、特別塗装機として最後の定期便を運航後、3機は「ブルー」で現在も活躍しています。

ニュース画像 3枚目:グリーンの塗装は空港でひときわ目立つ存在 (hidetsuguさん 2016年11月撮影)
© FlyTeam hidetsuguさん
グリーンの塗装は空港でひときわ目立つ存在 (hidetsuguさん 2016年11月撮影)

ANAグループによる最新の環境の取り組みは、国連で達成目標として掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)の1つとして、2016年以降は発展的な対応がとられています。CO2排出量を増加させない世界の合意に基づき、ボーイング787型など新技術を導入した新型機材の導入をはじめ、シートの軽量化、機内食の容器をプラスチック製から地球環境に優しい素材へ変更など、あらゆる対策を積み重ねています。中でも、飛行機の運航に欠かせず、CO2排出抑制の鍵となる持続可能な航空燃料(SAF)の普及ではライバルの日本航空(JAL)とも手を結び、多くの協力企業を巻き込み、具体的な取り組みが進んでいます。

SDGsの重要性が高まる中、「エコボン」はその先駆け的な特別塗装機だったとも言えるでしょう。

ニュース画像 4枚目:ANAとJALがSAFで協力、深化する「エコ」の取り組み
© JAL
ANAとJALがSAFで協力、深化する「エコ」の取り組み
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