奄美で滑走路逸脱の再発防止策、ATR着陸時の操作見直し・JAC再訓練など

奄美で滑走路逸脱の再発防止策、ATR着陸時の操作見直し・JAC再訓練など

ニュース画像 1枚目:滑走路を逸脱・停止した「JA07JC」 事故報告書より
© 運輸安全委員会
滑走路を逸脱・停止した「JA07JC」 事故報告書より

運輸安全委員会は2022年3月24日(木)、日本エアコミューター(JAC)のATR-42-600型(型式名称はATR式42-500型)の重大インシデントについて報告書を発表しました。この件は、2020年1月、喜界発奄美着のJAC3830便、機体記号(レジ)「JA07JC」で発生し、奄美空港で着陸後に滑走路を逸脱した事案です。報告書では、着陸時に左からの横風を受け、接地直後から左への偏向の修正が遅れ、滑走路を逸脱して草地で停止し、自走不能となったとほぼ断定しました。ATRは着陸滑走中のマニュアル(FCOM)の見直し、JACは航空機運用規程(AOM)や運航乗務員の訓練を実施しています。

着陸接地後、JACの運用規程(AOM)では「YOU HAVE CONTROL」「I HAVE CONTROL」のコールで、左席のパイロットは前輪ステアリング・ホイールによる進行方向のコントロールと減速操作、右席のパイロットは主翼の水平維持の操縦輪操作とブレーキ・前輪ステアリングの効果を高める操作を行うことが決められています。このコールは事案発生時、機長は記憶があると口述していたものの、コックピットボイスレコーダー(CVR)には記録されておらず、「エルロンしっかり左」のみ記録されていました。このため、接地後の操縦輪や操縦桿の操作の移管が明確でなく、機長と副操縦士の操作分担があいまいになっていた可能性を指摘しています。

これらを受け、設計・製造者のATRはマニュアル(FCOM)で、接地後の減速をブレーキ操作が主体と明確化したほか、前輪接地後は必要に応じてリバースを使用することを明確化しました。さらに、JACは運用規程(AOM)の横風値についてこれまでより厳しい数値に改定したほか、運航乗務員への訓練・審査、メーカー推奨の横風着陸操作の知識や技量定着の座学・シミュレーター訓練を実施しました。

メニューを開く