統合幕僚監部は2022年4月7日(木)、中国軍のY-9X電子戦機が宮古島から与那国島の南側の太平洋上を飛行していたと発表しました。航空自衛隊南西航空方面隊のF-15戦闘機が緊急発進し、継続的に監視が実施され、領空侵犯などはありませんでした。統合幕僚監部は対領空侵犯措置で初めて、複数の任務に使用されているY-9X電子戦機を確認しています。航空自衛隊が与那国島に第53警戒隊の与那国分遣班を配置し、その移動式警戒管制レーダーの運用開始も受けた飛行とも推測できます。
中国のY-9は、Y-8を発展させた機種です。Y-8はアントノフAn-12をライセンス生産した機種で、Y-9は、中国がY-8を独自に改良したターボプロップ4発機です。Y-9の主な使用用途は輸送機ですが、これまで日本周辺では哨戒機、電子情報収集(ELINT)機のY-9JBが確認されていました。
■中国Y-9 哨戒機、電子情報収集機、電子戦機 外観の違いは?
哨戒機、電子情報収集(ELINT)機、電子戦機の外観的な違いは、胴体横に搭載されているレドームの形状や位置で見分けられるようです。
哨戒機は、機体後部に長いしっぽの様な形状が特徴で、この部分は潜水艦の動きを探知する機能があります。
ELINT機は、機体前方のノーズ部分に特殊な形状のレドームがあり、レドーム内のアンテナで電波・通信を傍受、レーダーを探知・分析する機種とみられます。
電子戦機は、哨戒機と同様の外観であるものの、胴体側面の前方は長方形、後方に円形のレドームが特徴で、尾翼上の円筒状のレドームも見分けの1つの様です。各レドーム内部のアンテナでELINT機と同様の信号収集だけでなく、電子妨害などが可能な機種とみられます。