アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は2022年4月7日(木)付で、輸出管理規則(EAR)によるロシアの航空会社3社に暫定的禁止命令(TDO)による制裁を追加発動しました。対象の3社は、アエロフロート・ロシア航空、UTエア、アズール・エアで、すでに発動されているアメリカで製造された航空機166機の運航を止めることが実質的な制裁内容です。
暫定的禁止命令(TDO)が発せられたアエロフロート・ロシア航空、UTエア、アズール・エアの3社は、BISが3月2日(水)に発動した制裁を遵守しなかったため、追加措置が発動されました。3月2日(水)に発動した制裁には、アメリカ製の航空機をロシア企業等が運行する場合、BISの認可制に変更しており、対象は166機でした。
アエロフロートはロシアから北京、デリー、アンタルヤ、ドバイなどに認可を取らずに複数の機材で運航しているとBISが確認。TDO対象の3社は中国、インド、トルコ、UAE、モルディブ、ベトナム、タジキスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、サウジアラビア、ウズベキスタンなどに3月2日(水)に発動した制裁対象の機材による運航が確認されています。BISが発動した166機のうち、アエロフロートは39機、アズール・エアは21機、UTエアは16機を保有しています。
追加制裁のTDOは、180日の期間限定です。ただし、期間は延長される可能性があります。さらに、BISが指定する機体を運航した場合は違反にあたり、受け入れた空港にも制裁として多額の罰金、懲役、輸出入の特権の剥奪などの措置が講じられる可能性があります。BISは、ウクライナでロシア軍による非人道的な行為が発覚したことを受け、追加制裁を決めています。
■アメリカ政府による航空分野の主な制裁
アメリカ政府は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて航空関連で大きく3つの制裁を発動しています。まず、(1)ロシア向け航空関連品目の禁輸、そして(2)ロシア国籍機のアメリカ上空の飛行禁止です。そして、(3)ロシア企業が所有・保有する航空166機で、BISによるライセンス要求の対象となったものです。今回のTDOは、(3)のライセンス要求は実質的に運航を止めるもので、それが実現されていないことから、中国、インド、トルコ、UAE、モルディブ、ベトナム、タジキスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、サウジアラビア、ウズベキスタンなどへの運航を止める狙いがあります。
BISによるライセンス要求では、イギリスのサッカーチーム「チェルシーFC」のオーナーでもあったロマン・アブラモヴィッチ氏所有のガルフストリーム製G650ERを含む166機が対象です。これにより、エアブリッジ・カーゴ・エアラインズは運航停止を決めていました。
■制裁の対象機
＜アエロフロート・ロシア航空＞
・777-300ER
VQ-BFK
VP-BFC
VP-BGB
VP-BGC
VP-BGD
VP-BGF
VQ-BFL
VQ-BFN
VQ-BFO
VQ-BQB
VQ-BQC
VQ-BQD
VQ-BQE
VQ-BQF
VQ-BQG
VQ-BUA
VQ-BUB
VQ-BUC
VP-BPG
・737-800
VP-BMM
VQ-BWD
VP-BON
VP-BMB
VP-BCD
VP-BMO
VP-BNC
VP-BNP
VQ-BVP
VP-BPF
VP-BGI
VP-BNQ
VQ-BWA
VQ-BWC
RA-73094
RA-73104
RA-73121
VP-BCG
VP-BGG
VP-BGN
＜UTエア＞
■737-800
VQ-BJJ
VQ-BQQ / RA-73089
VQ-BQP / RA-73088
VQ-BQR / RA-73090
VQ-BJF / RA-73084
VQ-BQS / RA-73091
■737-500
VP-BXY / RA-73037
RA-73048
RA-73035
RA-73067
RA-73044
RA-73061
RA-73063
■767-200
RA-73081
VP-BAI/ RA-73082
VP-BAG
＜アズール・エア＞
■737-900
VQ-BYX / VQ-BYO
■757-200
VP-BLV
VQ-BEY
VP-BIS
VQ-BEZ
VP-BYC
VQ-BQA
VQ-BKB
VQ-BKF
■767-300
RA-73030
VQ-BEN
RA-73032
RA-73034
VP-BRA
VP-BUX
VP-BUV
VQ-BUO
■777-300
VQ-BTK
VQ-BZA
VQ-BZC
VQ-BZF
