パンデミックの航空貨物需要に対応した「プレイター」、エンデミックで姿消す運命に

パンデミックの航空貨物需要に対応した「プレイター」、エンデミックで姿消す運命に

ニュース画像 1枚目:ハイフライA380の貨物仕様客室、本格的な貨物機と比べ窓や床は旅客機の趣を残す「プレイター」
© Hi Fly
ハイフライA380の貨物仕様客室、本格的な貨物機と比べ窓や床は旅客機の趣を残す「プレイター」

ヨーロッパ航空安全庁(EASA)は2022年4月12日(火)、旅客機を使用した貨物輸送について、特例の認可を延長しないと発表しました。この特例とは、旅客機の座席を外し、貨物を搭載できるように簡易的に改修し、座席搭載のままと比べると、より多くの荷物を搭載できた運用を指しています。旅客機(Passenger)の仕様を残したまま、貨物機(Freighter)のように運用することから、広く「プレイター」と呼ばれ、コロナ終息のエンデミックを迎え、この仕様は姿を消すことになります。

EASAは、2022年7月31日(日)まで「プレイター」仕様について、個々の案件を検討しながら承認する期間として運用しています。今回、客室の座席を外した航空機による貨物輸送について検討したところ、航空貨物輸送の大きな課題は見受けられないため、特例の期間延長を行わないと決定しました。これにより、約2年間に渡り、エアバス、ボーイングの機材を中心に「プレイター」として活躍してきました。

旅客機の客室内を利用した貨物輸送は、日本でも全日空(ANA)や日本航空(JAL)でも運航され、座席や頭上収納を活用するなどして物流を支えました。座席を取り外して簡易改修されたプレイターは、コロナ禍でも世界を往来する物流のニーズを受け、防護マスクや検査キット、医療用手袋の輸送などに大きな役割を果たし、世界の様々な航空会社が運航しました。

プレイターの登場は、コロナ禍に伴う旅客便の減少でベリースペースが極端に減り、航空貨物輸送の需給が逼迫する中、旅客機から本格的な貨物機への改修には1年ほどかかることと比べて数日間と極めて短時間に改修できること、航空会社は収入獲得の手段となり、さらに物流の滞りが解消される効果もありました。プレイターとして運航された機種は、ボーイング777型、エアバスA350型、さらにエアバスA380型でも登場し、パンデミックの世界の物流を支えました。

ニュース画像 1枚目:本格的な貨物専用機のメインデッキ
© Lufthansa Group
本格的な貨物専用機のメインデッキ
この記事に関連するニュース
メニューを開く