NASA「空飛ぶ天文台」、2022年9月に運用終了 コスト面で維持困難に

NASA「空飛ぶ天文台」、2022年9月に運用終了 コスト面で維持困難に

ニュース画像 1枚目:NASAの空飛ぶ天文台「SOFIA」 (Sky-Hiro747さん 2016年7月23日撮影)
NASAの空飛ぶ天文台「SOFIA」 (Sky-Hiro747さん 2016年7月23日撮影)

アメリカ航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同運用するボーイング747SP型を改修し「空飛ぶ天文台」が2022年9月30日以降に運用終了することが決定しました。正式には「SOFIA (Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy : 遠赤外線天文学成層圏天文台)」と呼ばれる航空機で、機体後部に2.7メートルの反射望遠鏡を搭載しています。天文学に貢献する研究が行われたものの、コスト面の困難が多く退役が決まりました。

望遠鏡の使用時は、改修で設けられた胴体の縦4メートル、横6メートルのドアを開け、搭載する特殊な電子システムとあわせ、科学的な調査に対応しています。観測飛行時は夜間の10時間に及び、成層圏の38,000フィートから45,000フィートに上昇し、研究に必要なデータを収集していました。高高度を飛行する理由は、地球に到達する99%の赤外線を遮断する大気の上から観測するためです。こうした機器や飛行の工夫により、SOFIAは月や惑星、星、近傍銀河など観測し、2020年に月の表面に水が存在すると発見し、研究に貢献しました。

ニュース画像 1枚目:縦4m・横6mのドアを開けて飛行するSOFIA
縦4m・横6mのドアを開けて飛行するSOFIA

研究成果と同時に、金銭面では多くの困難を抱えていました。SOFIAは、NASAとDLRが8対2の割合で開発費用を分担することで合意し、1996年にスタート。機体の購入や改修などが進められたものの、NASAの予算削減の余波を受け、天体観測の初飛行は2010年5月でした。計画されていた完全な運用能力を搭載を完了したのは2014年でしたが、2015年には政府予算の認可を得られず、金銭面では多くの困難を抱えながらの運用でした。

ニュース画像 2枚目:2016年にコスト削減の取り組みで協力したプラット・アンド・ホイットニー747SP(左)と並ぶSOFIA
2016年にコスト削減の取り組みで協力したプラット・アンド・ホイットニー747SP(左)と並ぶSOFIA

今回、SOFIAの退役決定は、アメリカの学術機関「全米アカデミーズ(National Academies)」が天文研究の全般レビューを受けた判断です。SOFIAの科学的生産性から、運用コストは正当化できないと結論が記されたほか、10年後にSOFIAの能力は科学研究上の優先順位に大きく重ならないと判断されています。

「SOFIA」に使用されている747SPは、1977年4月25日に初飛行し、同年5月にパンアメリカン航空(パンナム)に納入されました。1985年にパンナムが太平洋路線と機材などの売却を受け、翌年、ユナイテッド航空に移籍。NASAが1997年に購入し、望遠鏡の搭載などの改修が行われました。

ニュース画像 3枚目:駐機するSOFIA
駐機するSOFIA
ニュース画像 4枚目:離陸するSOFIA
離陸するSOFIA
■SOFIA外観と機内の搭載機器の紹介
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