エアバスは2022年5月9日(月)、羽田空港でA220-300型の機内を航空会社にお披露目しました。羽田には5月8日(日)、エア・バルティックに納入されたばかりのA220-300型、機体記号(レジ)「YL-ABH」がエアバスのアジア・ツアーとして飛来しています。A220は、A220-100は最大135席、A220-300は最大150席の2機種です。A220-300はさらに多い席数160席仕様の認証を得る手続きが進められています。羽田に飛来したエア・バルティックのA220は149席仕様です。全日空(ANA)や日本航空(JAL)の大手2社をはじめ、日本の航空会社は未発注の機種で、今後の動きが注目されます。
公開されたエア・バルティックの機内は、スリムシート149席を搭載。機内はエコノミーのみのモノクラスです。エアバスは今後、認証を取得する160席搭載の場合でも、今回飛来したエア・バルティックと同様にシートピッチ32インチ(約81センチ)で搭載します。客室に設置するギャレーやトイレ等を柔軟に搭載・非搭載などが可能なため、航空会社の要望にあわせて機内仕様を決定し、最大160席を実現する方針です。
実際に機内に入ると、明るさと広さを感じられます。エンブラエルのE170/175などのリージョナルジェットは一般に、客室の天井が低く、圧迫感を感じるものの、A220ではそうした「狭さ」はありません。さらに席に座ってみると、身長180センチの男性では足の膝周りに少し余裕があります。こうした感想の理由は、楕円形のボディを採用し天井が高くなっており、通路に高さが確保され、高い天井により機体上部から吊り下げる手荷物収納のオーバーヘッドビンは、多くの荷物を収納できるようになっている設計時の工夫があげられます。さらに、天井の高さは、大きな窓の採用につながり、駐機中に十分な採光を得ることができていました。
■A220が狙う日本での市場は?
A220は2機種で100席から160席の市場規模をカバーし、エンブラエルが展開する最大100席程度のリージョナルジェットと、ボーイング737型とエアバスA320型の180席を搭載する機種と、市場の隙間を埋める狙いがあります。国内の航空会社での席数からすると、全日空(ANA)や日本航空(JAL)の各グループ会社を含む大手2社に加え、144席のボーイング737-700型で運航するAIRDOなど、180席より少ない機材で運航する路線を抱える航空会社でのA220採用が考えられます。また、新路線の開拓にも使用できる機種とエアバスは位置づけており、格安航空会社(LCC)を含め、多くの会社が売り込み先にあげられそうです。なお、具体的な提案先について、エアバスは言及していません。
性能面では、急角度進入の認証を得ているA220-100は、日本の空港に当てはめると札幌・丘珠、屋久島、利尻などターボプロップ機を中心に運航する2,000メートル未満の滑走路を有する飛行場のジェット化が可能と紹介しています。丘珠空港には、フジドリームエアラインズが76席のE170型や84席のE175型で定期便を乗り入れています。エアバスは、エンブラエルからA220-100での丘珠乗り入れにより、E170/175より席数を増やすことができ、効率よく運航できるとメリットを説明しています。
A220はこれまでに25社・740機の受注を獲得しています。その内訳はデルタ航空やエールフランス航空など大手航空会社、ジェットブルーやブリーズエアなどの格安航空会社(LCC)、リース会社と3分の1ずつです。このため、航空会社の規模やフルサービス/LCCなどの形態を問わず、対応できる機種とアピールしています。