映画「トップガン マーヴェリック」が2022年5月27日(金)、公開されました。作品の公開前に来日したトム・クルーズは、記者会見で作品の見どころの1つに、リアルを追求した空撮シーンをあげ、熱く語りました。その見どころに、山岳地帯を低空飛行する場面があります。このロケ地は、アメリカ・ワシントン州の湖「リムロック・レイク」付近です。映画では、湖に流れ込むタイトン川の両岸に迫る山をすり抜ける編隊飛行の迫力あるシーンを楽しめます。実際、「リムロック・レイク」付近では、映画「トップガン マーヴェリック」に出てくるアメリカ海軍のF/A-18スーパーホーネット、アメリカ空軍のF-35ライトニングIIによる訓練飛行が行われています。さらに、世界には映画に登場するような厳しい地形の訓練エリアが存在します。今回は、スピード感や音、風圧を楽しめ、実際に訪れることができる人気の3大スポットをご紹介します。
■イギリス・マックループ
イギリス空軍の低空飛行訓練エリア「Low Fly Area 7(LFA7)」の中でも、特に地形が谷になっているエリアが通称「マックループ」と呼ばれています。イギリス西部に位置するウェールズ地方のアイリッシュ海に面する渓谷地帯で、ロンドン・ヒースロー空港から鉄道では8時間ほど、車で4時間ほどです。
このスポットは、飛行する機体を目線の下で見ることができる世界でも珍しい場所です。訓練機は、イギリス空軍のユーロファイター・タイフーン、ホークなどのジェット機だけでなく、A400MやC-130Jスーパーハーキュリーズなど、大きな機体の輸送機も飛んできます。イギリス政府の低空飛行訓練の削減方針から、かつてより訓練が少なく、撮影機会は限られるようになっています。
■アメリカ・デスバレー
アメリカ・カリフォルニア州のデスバレー国立公園を東西に横断する州道190号線沿いに「ファーザー・クロウリー・オーバールック(Father Crowley Overlook)」というポイントで、アメリカ軍の訓練を見れます。ロサンゼルス国際空港から車で4時間弱、ラスベガスから3時間超と、レンタカーなど車でのアクセスが必須です。デスバレーは、「デス(死)」の渓谷の意味で、日中は灼熱、夜は寒く、寒暖差が激しく、訪れる際の滞在時間などは注意が必要です。
このスポットでは、厳しい自然環境から生まれた地肌がゴツゴツとした広大な渓谷を、「トップ・ガン マーヴェリック」にも登場するF/A-18などが飛行しています。ただし、この付近では2019年に墜落事故が発生し、撮影目的の観光客も怪我をしており、立ち入り禁止エリアなどに入らず、決められたポイントで見学するよう注意が必要です。
■スイス・アクサルプ
アクサルプは、スイス中央部の高地にあり、宿泊施設もある小さなリゾート地です。ブリエンツやインターラーケンといったリゾート地にも近く、チューリッヒ国際空港からアクセスする場合、鉄道とバスで向かうことができます。冬はスキー、夏はハイキングを楽しむ人が多く、その山中でスイス空軍が実弾を使うエアショー「AXALP(アクサルプ)」が開催されます。
他の2つのスポットと違い、エアショー開催中にあわせた訪問時は、気象条件が良ければ確実に見ることができます。ただし、楽しむためにはまずは山登りが必須です。今回紹介した3大スポットの中で、最もアクセス条件が厳しい場所でしょう。
エアショーは毎年10月第3週に開催されています。2022年は、事前訓練が10月18日(火)、公開演習は10月19日(水)と10月20日(木)で、3日間とも同じ内容が披露されます。スイス空軍のF/A-18Cホーネットによる迫力ある飛行と実弾射撃を筆頭とする展示飛行は、世界の多くの航空ファンを惹きつけています。
公開中の映画「トップガン マーヴェリック」に登場する山岳地帯を戦闘機が低空飛行するシーンは実際に存在し、映画だけのものではありません。今回紹介したように、世界には映画のような飛行シーンを楽しめるスポットが数多くあります。アフターコロナの旅行先として、足を運んでみてはいかがでしょうか?