エアバスA400M輸送機が消火活動?!キット搭載で散水可能に

エアバスA400M輸送機が消火活動?!キット搭載で散水可能に

ニュース画像 1枚目:高度約45メートルから散水するA400M
© AIRBUS
高度約45メートルから散水するA400M

エアバスは2022年7月26日、A400M輸送機に着脱可能な消防デモンストレーターキットのテスト飛行に成功したと発表しました。このキット搭載により、低高度かつ低速飛行で、火災現場へ正確に大量散水できるようになります。

A400M用消防キットは、機体を改修せず、必要に応じて搭載可能です。機内の貨物エリアに搭載した固定タンクに水を貯蔵し、機体後方の貨物室の後部ランプを開き、2つのパイプから散水します。このキット導入で、通常は輸送機として使用するA400Mも熱波による山火事などの有事に対応できます。

ニュース画像 1枚目:消防デモンストレーターキット搭載したA400M貨物室の様子
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消防デモンストレーターキット搭載したA400M貨物室の様子

スペイン空軍やヨーロッパの消防活動当局などの協力を得て実施された試験飛行は、水量、放水時間、搭載キットを搭載したA400Mの能力検証が目的です。最低動作の高度が約45メートル、飛行速度が230キロメートル、タンクから最大20トンの水が10秒未満で落下する条件で日中にテスト飛行を実施しました。今後は、キットの製品版開発を進めるほか、夜間飛行についても対応を進め、消防能力の効率性や有効性を高める開発を進めます。

固定翼消防機では、ボーイング747の約75トン、DC-10の45トンの多くの水量を搭載できる専用機と比べると、A400M用消防キットは量が少ないものの、普段は通常任務で使用し、火災対応時だけ空中消火に使用できることに大きなメリットがあります。また、ヘリコプターでは、大型のCH-47で7.5トンと比べ、大量の水・遅延剤を火災現場に投下できます。一般的な空中消火では、ヘリコプターや飛行艇などと固定翼機を組み合わせて運用されています。今後、A400M消防キットが実用化されると、世界各国で運用する機体へ搭載し、より多くの機数で空中消火に対応できます。

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